35.再会のエメラルド
「今日は転入生来るらしいよ」
「え、男? 女?」
「一つ席多いと思ったわ」
今日は朝から教室が騒がしい。みんな何処から仕入れた情報なのか、転入生が来ると噂している。
「くぅちゃんは気になる?」
さやかちゃんが私にそう聞いてきた。
「うーん、気にならないと言ったら嘘になるけど、とてつもなく気になるかと聞かれたらそうでもないような?」
「なんかややこしいな」
「難しいねー」
南ちゃんとなつかちゃんにそう言われる。
「何もしなくても来るなら来るしっていう感じかな」
「結局あまり興味はないようだね」
「さやかちゃんは興味あるの?」
わざわざ話題に出すということは少なからず興味があるということなのか。
「イケメンがいいな」
「興味あるんだ」
クラス中が沸き立つ中、担任の先生が入ってきてホームルームが始まった。
「みんな知ってるようだが、転入生が来てる。入ってこいっ」
全員の注目を集め、前のドアから入ってきたのはグレーの髪をした男の子。
なんだか見たことあるような。
「初めまして、
丁寧な挨拶だなぁ、あ、瞳は緑、いやエメラルドグリーン綺麗だなぁ。
ん? 前にもこんなことが……。ああっ、この前道案内した男の子。学年同じだったんだ。しかもクラスが同じになるなんて、なんて偶然。
冬城君っていうんだ。
「じゃあ、冬城はあそこの席で」
元々は無かった一番後ろに席が増え、そこに案内される。私の横を通る冬城君は一瞬こちらを見て微笑んだ。覚えててくれたんだ。これから仲良くなれたらいいな。
「知り合い?」
「この前ちょっとね」
含みのある言い方をしてしまい、この後三人に問いただされることになる。
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