第39話「特別講師2」
第39話
「よし、それじゃあ今日の一限の実技の授業はこのへんで終わりとする。今日はよく体を休めておくんだぞ。明日からはより個人での戦闘を意識した訓練へと変えていくからな」
「「「はい、ありがとうございました!!」」」
今日はレオン、ライナー、アーサー、エミリアの実戦練習が行われた。
また魔法主軸の俺、レイン、クリスタ、ケール魔法の個人鍛錬をしていた。俺はマナゾーンのために瞑想的なことを、水魔法の得意なレインとケールはその鍛錬を、クリスタは雷魔法の威力追求のために色々と試していた。
そして、ダインはアーサーとレオナルド七将の戦いが終わった後にアーサーと別個で手合わせをしていた。側から見たら光対闇でとても興味深かった。
……ちなみに勝者はダインの方だった。まぁアーサーがだいぶ疲れていたってのはあるだろうけど。
***
レオナルド七将による一限が終わり、その次のこの世界の地理や歴史の授業が終わった。
ここで少し、二限で習っている社会的なことについて話しておくとしよう。
まず地理について。ここハルバート王国は、名もない大陸にハルバート王国を含む8つの国とともに存在している。ハルバート王国は、東から南にかけて大陸内最大勢力のヴィルヘルム帝国を、西に広大で危険地帯と言われている魔の森と友好国であるトラスト公国を、そして北にドワーフ自治区のあるトロイデ火山群と、世界樹の保護下にあるというエルフの自治区に繋がっている。これは大陸内においても、エルフの自治区に次いで2番目に外国との国境の数が多い国である。
次に歴史について。まだ大陸のほとんどが森や山々などの自然に囲まれていた中、エルフ、ドワーフが自治区を作っていき始めた。そしてその時人間族たちは放牧民のような暮らしをしていた。
しかしそんな時、放牧民のいくつかのグループの長たちが、今の魔導士たちをもゆうに超える力に目覚めた。その力は以後"神の与えた力"「神力」と言われるようになった。
そして神力を持った遊牧民の長たちが、自分たちの安全居住地を作るべく、それぞれが国を築き上げた。それでできた国が今のハルバート王国とブリタニア港国で、そしてもう一つ、今は滅びた国であるハイリヤ王国だ。
しばらくの間はその三国が結んだ平和同盟によって大陸は安定していた。………だがそんなある時、突如としてハイリヤ王国が滅亡を迎えた。理由としては、軍部の反乱だ。当時、3カ国の中でも最も人口と軍事力を抱えていたハイリヤ王国は結果的にいうと国内での平定を保てなかった。その後も旧ハイリヤ王国の軍部たちは侵略・拡大を続け、ついにはハルバート王国にまで牙を向けた。しかし、その度にハルバート王国軍はブリタニア港国とエルフと連合軍を組み、その攻撃を退けていた。そして、旧ハイリヤ王国に成り代わってできたのが、今のヴィルヘルム帝国だ。
それが大まかな歴史だ。
***
「さて、次の三四限は魔法科基礎だ。朝も言った通りエルフの特別講師、リーフさんがいらっしゃるからな。」
ついにエルフの先生と対面だ。なんとかマナゾーンの完成にまで持っていく糸口が見つかればいいんだが。
"ガラガラガラガラ"
教室の扉が開き、ランド先生とその後ろに真っ白な肌をしていて、透き通るほど綺麗なエルフの女性がいた。
「うわぁ………綺麗だ。痛っ」
俺も思わず感嘆してしまった。まぁその結果エミリアに足を踏みつけられてしまったのだが。
「どうも、新入生のSクラスの諸君。私はエルフ族のリーフだ。私は元々、ここのラビリンスと任務をともに行っていて、今は女王陛下の元で親衛隊の1番隊隊長をしている。今日はラビリンスからのお願いで諸君らに魔法を教えにきた。だから気になることとかがあれば遠慮なく聞いてくれ。」
「「「よろしくお願いします。」」」
それからはリーフさんによって、普段は詳しくは習わない魔法のメカニズムや、エルフと精霊との関わり、そして空気中のマナの存在と俺たち自身の持つマナとの関わりや違いを学んだ。
しかし、それらの多くはもう自分で図書室で調べたりして知っている情報が多かった。まぁ実演してくたのはとてもためになったけど。
「まぁ取り敢えずの話はこんなところだな。それではランド先生、一度戦闘場に移動したいのだが空いているか?」
そうして、あらかた話が終わったタイミングでリーフさんがランド先生にそう尋ねた。
「ええ、勿論空けてあります。」
「それは良かった。では諸君、移動するぞ。」
そうして俺たちはついにリーフさんによる、実技講習を受けることとなった。
***
「さて、諸君。先程、魔法のメカニズムや空気中のマナについて話をしたが、今度はそれの実演と実習をしようと思う。」
俺たちとリーフさん、ランド先生は戦闘場へと来ていた。
「よし、ではそれぞれ"一人ずつ"散らばってくれ。そこに私が回っていく。諸君らはくれぐれも私が来るまでは"一人"でいつも自分でしている鍛錬と同じようにしているように。それと、ランド先生は分かれた一人一人の間に互いが見えないくらいの壁を作ってくれ。」
「分かりました。
リーフさんがそう言って、俺たちは戦闘場に散らばった。そしてランド先生はそれを確認すると、それぞれを壁で仕切り始めた。
「よし、それじゃあ俺は待ってる間いつも通りマナゾーンを作るための瞑想をしているか。」
俺はそういうと地面で胡座を組んで深呼吸をした。
まずはいつも通りに俺自身のマナを高める。次に、熱の球で空間を仕切る。これで俺の魔力が強く及ぶ領域をつくるんだ。
「ふぅ……集中だ、集中。」
そうして俺はやっと空間内に自分の魔力を満たし出した。
「もっと集中して、俺の魔力で満たすんだ。俺の空間を作るんだ。」
俺はさらに集中力を高め、感覚を研ぎ澄ましていく。そして俺は空間把握をより正確なものへとしていく。
「おい、もう良いぞ。そこらへんで一度止めろ。」
「えっ……!?」
するとそんな時、リーフさんに突然声を掛けられた。一体いつの間に俺に近づいたのだろうか。全く気配というか、存在を感じなかった。
「一つ言っておく。其方、このままでは何も出来ぬぞ。」
「えっ………。」
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