第32話「光華の戦姫」
第32話
それにしてもエミリアの
「エミリア、お疲れ様凄いよかったよ。流石にアーサーの魔法よりも威力が高く出るとは思ってもいなかったよ。」
俺は戻ってきたエミリアに言う。やっぱり流石は姫将軍と言ったところだな。
「ありがとう、ソラ。まぁこれもアーサーと同じく、時間がかかるから一対一ではまるで使い物にならないがな。」
エミリアは言った。
「それでも十分凄いよ。それにエミリアはもう将軍なんだからその魔法もすぐに板につくようになると思うよ。より戦略級な魔法だと思うし。」
俺はそう言った。するとエミリアは褒められ慣れていないのか、顔を赤くして「そ、そうかありがとう。」と返してきた。
まぁアーサーが悔しそうにしていたがとりあえず無視だ。男は自分で強くなって乗り越えろ、だ。
さてとそれじゃライナーのを見ようか。
………別に忘れていたわけじゃないからな。
「いきます。」
そう言ってライナーは早速魔法を紡ぎ始めた。やはり皆んな火力を高めるために魔力を貯めるらしいな。
それから少し経ちライナーは腕に竜巻のような風の渦を纏い始めた。それもかなりの速さのものだ。
「うらぁ!!」
ライナーは竜巻のようでさらに炎を纏った拳を魔法人形目掛け振り抜いた。
突如
"キュイーーーーーーン!!!!"
という甲高い音が鳴り響き、案の定凄まじいほどの風があたりに流れた。
そして魔法人形が示した数値は2800。
「おおぉ、中上位魔法だ。」
何かエミリアとアーサーが高すぎて可哀想だな。でもこれは凄いことだろう。間違いなく現時点での普通の生徒なら一二を争うレベルだろうし……でもやっぱり可哀想だな。落ち込んでるように見えるし。
「うむ、ライナーよくやった。現時点特待生としても高水準だ、自信を持っていいぞ。さて、次はダインお前だ。」
ランド先生がライナーを励ました後、次に呼ばれたのはアルフォード軍事大臣を父に持つ、アルフォード・ダインスレイヴだ。
「そう言えば自己紹介の時、自分の得意魔法言ってなかったけどどんな魔法を使うんだろうか?」
俺がそう思っていると、アーサーがそれに応えた。どうやら声が漏れていたらしい。
「ダイン君はずっと優秀だったんだよ。それと得意魔法は闇。僕とは真反対適正だったんだよね。」
ふーん、そうなのか闇魔法か。まだ見たことないから楽しみだな。
その後アルフォード・ダインは俺たちの前へと出て剣を抜いた。それは漆黒でかなり重厚な一太刀だった。そしてダインスレイヴはその重厚な剣を地面へと突き刺した。すると直後、ダインの前方に真っ黒いや吸い込まれそうなほど漆黒な湖のようなものができた。すると魔法人形含め漆黒の湖がある範囲の全てのものが、沈み………ん?飲み込まれ始めた。
すると少し経って、ダインはこっちを振り返りランド先生に
「俺の魔法は今までの人も違い、飲み込んだり別次元に落とす魔法なので数値自体は出ません………ですが魔法人形を飲み込み、消滅させることはできます。」
なるほどね、闇魔法というだけはあるね。全然見た目は似てないけど魔法だけで言うとワン○ースのク○ヒゲみたいな感じなのね。
「分かった、ならもう魔法を解除していい。ダイン魔法展開を解除して魔法人形とかを戻せるか?」
ランド先生がそういうとダインは魔法展開を解除し、沈みかけていた魔法人形等が再び姿を表した。
それを見るとともに、ランド先生が
「数値は一基準でしかない。それなら回復魔術士とか一部の無属性の使い手は優秀でも評価出来なくなるだろう?だから別にいい。今お前が放った魔法は十分に強力だった。ちゃんと評価はされるから安心しろ。」
と言った。それを聞いて、一旦安心したのだろう、ダインは目に見えて緊張が解けていた。父親からや周りからの重圧とかもあったんだろうな。
「さて、それじゃあ次はメリッサの番だ。頼む。」
そう言って今度は隣の公国でありここハルバート王国との友好国であるトラスト公国の第一公女であるトラスト・メリッサが前へと出た。彼女はエミリアやアーサーと小さい頃からの仲らしいけど、どんな魔法を撃つのだろうか?
そう思いながら俺はメリッサを見送った。
「それでは行きます!」
メリッサはそう意気込んで構えた。そう言えば得意魔法も言ってなかったけど何を使うんだろう?
待っているとメリッサの背後から巨大なそれも見惚れるほど美しい花が生えてきて、咲き誇った。
「「すごい………」」
それを見て流石のアーサーやエミリアという幼馴染でさえ、口が開けっ放しになっている。
「
すると目に見えるほどのエネルギーが急速に華の中心に集まっていき、凄まじい魔力密度で形成された熱線?光線が放たれた。
"ダガーーーーーーーーーーン!!!!!"
光線と魔法人形とが接触したとたんに爆音がなり、それだけでなく光線はまだ今もなお放たれ続けておりそれも凄まじい威力だった。
「何て魔力量だよ…………本当に凄いなこれは。」
これに関しては本当に驚いている。
そして隣ではアーサーが「華の戦姫ってメリッサのことだったのか………」とか言ってさらにあんぐり返っている。
まぁそりゃこれだけ強かったらそんな異名もつくわな。
それにしても王族の娘さんって皆んなそんなに強いものなのだろうか?
"ダーーーーーーーーーーーーン!!!!!"
としばらくの間続いていた爆音が鳴り終え、そこに残った魔法人形は丸焦げになっていた。アーサーの剣技でも、エミリアのおかしいほど規模がデカい魔法でもビクリともしなかった魔法人形"が"だ。
「「なんて威力だ……………」」
これには俺とランド先生の声も重なる。それほど皆んなが驚いていると言うことは言うまでもない。
さて、肝心の数値は如何程だろうか。
そんなふうに思いながら待っていると、煙が散り数値が見えた。
「おいおいおいおい、嘘だろ。今の時点で10000って、卒業生にも、この学園内にもこれだけの数値を出せる人は数えるほどなんだぞ。」
これには全員が驚く。入学早々に最上位魔法を使うということは、つまり十分に戦略級であり魔法使いの中でもかなりの上位に入るということだ。
これインパクト強すぎてこの後の人マジで辛いだろうな、勿論俺を含めて。
それからしばらくしてランド先生が次の生徒を呼び、それからは皆んな大体2200〜3000程度であった。
ちなみに
オドオドとしていて自信がなさそうなレインさんが超高圧な水のビーム?を放ち結果は2200。
女王様みたいでルイス家の長女であるクリスタさんが凄まじい威力の雷を放ち結果は3000。
一流鍛冶屋の息子であるレオン君がかなり高レベルな身体強化の上に炎のストレートを放ち2400。
レオン君の幼馴染でありレストランの看板娘であるケールさんが水を刃とした水流カッターチックな魔法を放ち1850。まぁ彼女の場合はメインが特殊魔法の回復魔法なので仕方がない。人には得手不得手があるからな。
これで皆んなが終わったさて最後は俺か、そう思って待っているとランド先生に名を呼ばれた。
「よし、俺の番だ。」
そう意気込んでいくとアーサーが「ほどほどにな」と言ってきた。いやいや自分ら本気で撃って楽しんでたじゃん、それに実際に自分の強さが数値として分かるなんて、最高じゃないか。
俺はそんなふうに思いながら、魔法人形の前に立った。
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