第22話「最強vs最強」(前編)
第22話
俺が観客席のある上の階から降りてきて待機場所のようなところに行くと、さっきの試験で怪我という怪我をしなかったアーサーとエミリアが座っていた。
「二人ともお疲れ様。二人とも本当に凄かったよ。アーサーは凄い魔法放つし、エミリアは洗練された動きをしていたし。正直言って他の受験者とはレベルが違かったと思う。」
俺は二人に声をかけた。なにもこれは励ましている訳じゃなく、単なる事実だ。
「やぁソラ、ありがとう。でも僕はもっと魔力を増やさないとね。これからはもっと魔力を行使した実戦を多くしていかないと。」
「だがアーサーは凄かったよ。私もいいところまでいけたと思ったのだがなぁ………。はぁ詰めの甘さが出てしまった。」
二人とももう今の時点で自身の反省点をしっかりと見出せている。これは二人とも強くなるだろうな。
「まぁそのために学園に通うんだから、そう思い詰めない方がいいと思うよ。」
俺はそんな様子の二人を見てそう声をかけた。
「まぁそれもそうだね。………そう言えばソラはこの後に試験だよね。それなら見るしかないよね、最強対最強を。」
アーサーが俺に向けてそう言った。それを聞いて俺もエミリアも、へ?というような顔をした。だって本当に分かんないんだもの。
「なんだ父上達から聞いていないのか。………まぁソラ後で分かるよ。とりあえず僕から言えるのは本気でやらないと勝つなんてことはできないよってことかな。ほら姉さんも上の観客席に行こ。父上たちも待ってるから。」
アーサーがエミリアを引っ張っていった。それに対してエミリアは「え!?ちょっ!」と戸惑っていた。だが去り際に「ソラ頑張れ!!上で応援してるぞー!」と言ってくれた。
***
「ふぅーーーー、すぅーーーー、」
俺は深呼吸をして待っていると奥の方からライナー含め他の受験者たちが歩いてきた。どうやらもう怪我の方は大丈夫らしい。それにしても何で出血一切してないのだろうか。まさか回復魔法とかいうやつだろうか。特待生ってだけあって待遇いいのね……ってまぁ当然か。
そんなことを思いながら座っていると受験者たちに付き添っていたのか、案内役の女の人も一緒に戻ってきた。するとその人は俺を見るなり「すみませーん。お待たせしましたー。」と声をかけながら、小走りでこちらにきた。
「さぁついに俺の試験か。」
そう言って俺は案内役の女の人と一緒に舞台へと向かった。
そう言えば、他の受験者も何故か上の観客席に行ってたな。まぁ別に何も関係ないけど。
「さてと、準備は念入りにね。あの防御を打ち砕くには、少し骨が折れそうだし。」
俺は今先程までアーサーたちが戦っていた舞台へと上がり、準備体操をしていた。少し驚いたのだが、もうすでに舞台は綺麗な状態に戻されていた。ヒビ一つ入っていない状態にだ。まぁ恐らくグリアモールさんが直したのだろう。
「で、肝心のグリアモールさんはどこなんだ?」
そう言って俺は観客席も含め周りを見渡す。すると見つけたは見つけたのだが、グリアモールさんは何故か観客席の方にいた。
いやなんで試験官がのんきに座ってんのさ。そんなふうに考えていたら、
「試験官の方は御入場してください。」
と案内役の女の人が言った。すると俺が出てきたところとは反対側の場所から"レオナルド大将軍"が出てきた。凄い貫禄だ。レオナルド大将軍はさっき観客席で見た格好とは違い、如何にも戦闘モードといった感じだ。そうだなぁさっきと同じなのは武器を持ってないってところくらいかな。
「へぇレオナルド大将軍も武器持たない派か。なんか親近感湧くな。………というかそんな場合じゃないんだよ。何で試験官レオナルド大将軍なんだよ。国で最強の人が相手って…そんな試験存在しちゃいけないでしょ。………はぁ後で分かるってこういうことか。はぁもう早速合格できるか怪しいんだが。」
俺はそんなふうに言いながら、仕方ないと諦めて自分の中で戦闘モードに切り替える。だが実をいうと少し楽しみでもある。
だがそれは当然だろう。だってこの国の頂点が目の前にいて、それと戦えるのだから。死ぬ危険もほぼないしね。…………ね。
そしてついに案内役の女の人が"始め!!"と言った。
***
"始め!!"
そう言われたが俺もレオナルド大将軍も動かない。だが戦況が変わらないわけではなかった。突如
"ズンッ!!!!!!!!!"
と威圧をはらんだ魔力で俺のことを威圧してきた。流石は大将軍、なんて威圧感だ。これがあれか"覇気"ってやつなのか?そう思って周りを見ると観客席で見ているみんなは縮こまり、動くことも喋ることさえも出来なくいる。グリアモールさんでさえだ。
「でもまぁ俺の方が魔力量も効率も上のはずだからな。」
なんせ俺は魔力無限で知力にいたっては測定不能だからな。
"ズンッ!!ビキーーーーーーーーン!!!!!!"
俺は頭に響くほどの威圧の魔力を放った。それによって俺はレオナルド大将軍の魔力を押し返した。そしてこのままレオナルド大将軍をも飲み込むかというところでレオナルド大将軍が再び魔力を放った。それによって、巨大な魔力と魔力がぶつかり合いと弾き合いにより
"ズパーーーーーーーン!!!!!!!"
という音がなり、爆風が起こった。観客席の方から「うわぁーーー!!!」とか「きゃぁーーー!!!」とかいう声が聞こえてきた。今俺の魔力が最後弾かれたが、分かったことがあった。それは確かに魔力は弾かれたが、俺が押し切りそうな時に苦し紛れに弾いたということだ。つまり、俺の方が魔力自体の量、質は上であるということだ。
「ソラといったか。魔力の質、量ともに俺の先をいくか、面白い。お互い本気で行こうではないか。」
レオナルド大将軍が俺にそう話しかけてきた。
そうだなそれなら俺も本気でいくとしよう。
「分かりました、本気でいきます。殺す気でいくので参ったら手あげて下さい。」
「ふん、言ってろ。それじゃあこっちからいかせてもらうぞ!
レオナルド大将軍がそう言うとあたり一帯が一段暑くなった気がした。
「教えといてやる。あまり長期戦はしない方がいいぞ。」
そう言われた。恐らくだが、時間経過とともに効果が上がってく身体強化のようなものだろう。
「なら早期決着を狙わせてもらいますよ。
「ステータスオープン。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新門 宇宙 (シンモン ソラ)
攻撃力 20000+200000 (10重)
防御力 20000+200000 (10重)
体力 20000+200000 (10重)
魔力 ♾
知力 計測不能
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使用可能属性 なし
特殊魔法 熱
使用可能魔法
・
・
・
・
・
・居合手刀「一閃」:不可視の熱の斬撃を飛ばす。性質、量、速度などは変化可能。
称号 人類の叡智、無限の魔力、転生者、
神の加護を受けしもの、龍殺し
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「本気で神話級とやりあったからめちゃくちゃステータス上がってるな。こりゃ灼熱の魔眼つけてなくてももう人外のレベルだろ。まぁいい今はレオナルド大将軍に集中しよう。」
ちなみに今は試験中なので魔道具の使用は認められていない。だから灼熱の魔眼は取り外している。 まぁアーサーの聖剣って魔道具じゃないの?ってことは言わないでおこう。
「行くぞ!!」
俺は全速力でレオナルド大将軍に突っ込み、一瞬で背後をまわり込んだ。
「
"ドゴンッ!!バーーーーン!!!"
俺は容赦なく
つまり俺の攻撃が受け流されたのだ。詳しく言うと、恐らくだが俺の放った爆発のエネルギーがそのまま受け流されたのだろう。
「痛いな、流石はもう一人のホルダーだな。爆発を逃しても打撃もかなり強いからな。これはそう何発もはくらうわけにはいかんな。」
やはりな、爆発を逃したのか。でも衝撃、つまりは打撃の純粋なダメージは与えられるんだな。
「そうか打撃は効くんだな。でもまずはどんくらいの性能なのかを調べねぇとな。」
そう言って、俺はバックステップで退避する。だがそれを遥かに上回るスピードでレオナルド大将軍はこちらへと迫ってきた。
そしてレオナルド大将軍は焔を纏った拳を向けてきた。俺はそれを回避すべく、さらに後ろに退避する。だが、
「グフゥッ!!」
俺はまさに「く」の字になって吹き飛ばされた。俺は一瞬なにをされたのか分からなかった。
「な、何故だ、確かに避けたはずだ。目に見える様な爆発なんかも起こっていないし。」
俺はそう言いながら立ち上がる。別にダメージ自体はそこまでない。まぁ痛いは痛いけどな。
「ソラ、そんなものだとは言わせないぞ。それと疑問に思ったなら教えてやる。今のは熱による衝撃波だ。」
熱!?熱魔法ってことなのか。俺以外の使い手ってことか?………いやそんなはずはない。てか焔の大将軍じゃないのかよ。
「だが勘違いするなよ。俺が使っているのはあくまで炎魔法だぞ。別に一般的に使うこともできる。だが今の俺は本気だ。だからこれを使う。ただ一つ言っておくと、俺は他の魔術師の上の次元にはたどり着いている。」
炎を使っての身体強化ってことだな。それで次第に強くなってくってことは、自身の体内で魔力として炎を燃やし熱を発生させ循環させているのか。またそれの応用として熱を一点に集めることにより衝撃波をおこしていたりするのか。なるほど理解した。
「なるほど、ありがとうございます。これでもう俺は貴方に負ける要素はなくなりました。熱は俺の専売特許なんでね。」
つまりレオナルド大将軍は熱の循環、チャージ、発生に時間がかかるということだ。つまりこの勝負、即座に熱を起こせる俺に軍配が上がる。
「いくぞ大将軍、受け流せない様に断ち切ってやるよ。」
そういうと俺は居合の構えをする。
「居合手刀『一閃』!!」
俺がそう言って放つと少し経って
"ドン!!ズパーーーン!!"
レオナルド大将軍の体に斬撃が打ち込まれる。
「これならどうだ。」
俺はそう言いつつレオナルド大将軍を見る。するとレオナルド大将軍は膝をついていた。
「うぬ、不可視の熱の斬撃か。今の体内の熱ではこれは防げぬな。ペースを上げるか。よく考えてみれば、相手は神話級を下した化け物だからな。
どうやらギアを上げたようだ。これで2段目か。レオナルド大将軍を見ると体から湯気が立ち上り始めていた。だいぶ熱が蓄積されてきたみたいだな。こりゃ早く決着つけなくちゃな。
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