個性的で魅力的な登場人物たち、『神』とのかかわりの物語

登場人物たちが個性的で、良い意味で読者の希望を裏切ってくる。主役ふたりもそうだが、じつのところ本作の隠れた主役は「神」ではないかと思っている。
人々を「神の声」によって支配する、ほんとうの「神」である。
神の意志はたしかに間違いではないのかもしれないが、その意志は個人の幸福を顧みない。
主人公ふたりは、隣国との軋轢に呑まれたように見えるが、実際はこの「神」のありように「否」を突きつけたようにも見える。
人と神、人と国、人と人、様々な視点で読める作品。