そうして物語はこう始まる。

 ひとりの敬虔な修道士が、やむを得ない事情で旅をしている。
 物語はそんな書き出しで始まります。

 やがて修道士は旅先でひとりの(?)しゃべる生首と出会い、お互いのことをすこし知り、知ったことで分からないことが増え、分からないままに助け合い、助け合ったことで信頼が深まります。
 そのふたりの行く手は、悪意や陰謀、黒魔術……敬虔で純粋なぶん、現世の汚穢に不慣れな修道士には刺激が強すぎる……!

 しかし、修道士と生首のふたりづれ(?)はなんとかそんな危難を乗り越え、迫り来るあるタイムリミットに向き合いつつ、最後はおおきな奇跡を起こすのです。

 それはもう、ある意味、天地がひっくり返るような、創世の神話を垣間見るような。にもかかわらずささやかで優しい変化と、優しい不変を生首にかかわった人々にもたらす奇跡。

 それがどんな不変と変化だったか、是非みなさま、お確かめのほど。
 行きて帰りし物語。
 はじまりに還るおとぎばなし。
 けれど、いちど過ぎ去った物語は、たしかに胸に刻まれて、ささやかでおおきな奇跡はたしかに起こったのだとそう信じられる、そんな結末に辿り着くことでしょう。