第46話 従業員確保

あれから15分ほどして少女が目覚めた。


「おはよう、身体の調子はどうだい?」


「おはよう。。。 あれ? 痛くない?? ん? あなたは誰ですか? 神様? 私はやっと死ねたのですか?」


「死んでないから。俺が君の身体を治したんだ。身体に異常はないかい?」


「え? あれ? 足がある?? 夢かな?」


「夢でも無いよ。とりあえず、大丈夫そうだね。俺は誠司。君を奴隷商から買い取って治療した。これからよろしくね。」


「治してくれたの? ありがとう。ということは、貴方は私のご主人様だね。私は猫獣人のランよ。よろしく。何でもしますので捨てないでください。お願いします。」


「捨てたりしないから。それと君の仕事は後ろにある寮の管理ね。」


「おっきいい! お城?」


「寮だってば。おっと、もう一人も起きたようだね。おはよう、リン。」


「おはよう。。。 あれ? 痛くない? 私、死んじゃった?」


「デジャブか? 君は死んでないし、俺は神様じゃないからね?」


「そうなの? あれ? 足がある? 手もある? それに目が見えてる??」


ランは活発な感じだがお馬鹿さん? リンはおっとり系のようだ。


「今更かい。多分、全部治っていると思うけど、どこか異常はないかい?」


「大丈夫だと思う。あなたが治してくれたの?」


「そうだよ。それで話を戻すけど、リンにも後ろの寮で働いてもらうことになるからよろしくね。」


「わかったぁ。」


「二人とも元気になって良かった。。。」


元気になった二人の姿を見て泣き崩れるスーザン。

するとランとリンのお腹から「グゥ~」と音がした。


「元気になってお腹が空いたみたいだね。春菜に何か作ってもらおうか。じゃあ、俺の仲間を紹介するから待ってて。」


ルームの扉を召喚し、みんなを呼んだ。


「みんなに新しい仲間を紹介するから集まってくれ。」


続々と我が家の女性陣が出てきた。


「紹介するね。この寮の管理をしてもらうために雇った3人だ。右からスーザン、ラン、リンだ。改めて俺は誠司。右から愛莉、春菜、未来、カレン、そしてミレーユだ。」


「「「よろしく。」」」


「あの、そちらのお方はもしかして、ミレーユ王女様ではないでしょうか?」


スーザンさんがオドオドしながら訪ねてきた。


「ん? そうだけど?」


この国の民であればミレーユの顔は知っていて当然か。

すると神速でスーザンさんが平伏した。


「申し訳ございません! 平民風情、いや奴隷風情のわたくしが王女様に口をきいてしまいましたこと誠に申し訳ございません。まだ命を救って頂いた誠司様へ恩返しを済ませておりませんのでどうか命だけはお助けください。」


慌ててランとリンも平伏した。


「もう、止めてください。確かに私は第2王女ですが、ここでは誠司様の婚約者で皆さんと同じ仲間です。そのように腫れ物に触るような扱いをされることの方が悲しいです。ですので、普通にお話してくださいね。」


「承知いたしました、奥様。」


「嫌だわ、奥様だなんて。まだ結婚していませんのに。」


ミレーユが赤くなりモジモジしている。


「ということで彼女たちは元奴隷だったんだが、俺は従業員として扱うからよろしくね。それと春菜。3人にお腹に優しい食事を準備してくれ。」


「わかったわ。じゃあ、おかゆを作ってくるわね。」


「3人は食事ができるまで寮の中を案内するよ。」


3人を連れて寮に入った。


「1階は君たちの職場の食堂、大浴場、コインランドリー、売店、そして君たちの部屋がある。2階は男子寮、3階は女子寮だ。基本的に3人には食堂で調理を担当してもらう。またクラスメイトが生活で困っていたら手伝ってあげてほしい。」


「私は宿屋の女将をしてたので多少料理はできますが専門ではなく、家庭料理ぐらいしかできませんよ?」


「料理に関しては春菜が専門家なので教えてくれるから安心してくれ。ランとリンはスーザンさんのお手伝いだ。」


「「わかった!」」


食堂とキッチンを見学した後、大浴場へ向かった。


「男女で別れた大浴場だ。ここでは風呂に入る習慣は貴族にしかないと聞いたが、俺の暮らしていた世界では一般人でも毎日風呂に入る習慣があるんだ。ここの掃除もお願いね。それに君たちも毎日入ってね。」


「私もお風呂に入って良いの?」


「そうだよ。毎日仕事終わりに入ってね。」


「じゃあ、次は君たちのお部屋を案内するよ。」


従業員用の部屋へ向かった。


「きれいなお部屋だね。ベットが一つあるから1人はベットを使わせてもらいましょう。2人は床ね。交代でベットを使いましょうね。」


「ん? 一人1部屋だぞ? だから床で寝ないでベットで寝てね。それと働いた分のお給料も払うつもりだから。」


「あの、お言葉ですが。さすがに待遇が良すぎますよ? 奴隷は基本床で寝るのが当然です。」


「もう一度言うけど。俺は君たちを奴隷として扱わないから。俺は異世界人だからここの常識は無いから諦めてくれ。でも、そのこと以外で俺の常識が間違っていたら指摘してもらえると有難いかな。」


「とりあえず、奴隷の扱いは間違っていますがそれは諦めます。ありがとうございます。」


「そろそろ食事の準備ができるだろうから食堂に戻ろうか。」


食堂に戻ると丁度春菜がおかゆを持ってきてくれていた。


「温かい。」


「おいしい。」


「全部食べても良いの?」


俺が頷くと3人は涙ぐみながらおかゆを啜った。


「春菜。晩飯は3人の歓迎会をしよう。準備よろしくね。あと、スーザンさんにここのキッチンを任せるから料理を教えてあげて。」


「わかったわ。任せておいて。」


「カレンに彼女たちの衣服を準備してもらってくれ。」


「すでに作り始めていたから大丈夫。」


「3人は晩飯まで自由にしてていいよ。部屋で寝てても良いし、寮内を詳しく見て回っても良い。分からないことがあったら何でも聞いてくれ。」


お子様2人は満腹になって眠そうにしていた。

夕食は豪華な歓迎会となった。

それから数日かけて仕事内容と料理を覚えてもらってクラスメイトを受け入れる準備が完了した。



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身体を失った俺たちは運良く異世界転移で助かったが、俺の職業が『コレクター』って何? 蒼い空 @sky_blue

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