第40話 王族一家の家族団らん
「おはよう。今日はどうしようか?」
始めて飲んだ酒で2日酔い気味の俺はダルそうにみんなに尋ねた。
この国では15歳から成人になり、お酒もOKだそうだ。
それで昨晩、救世主ともてはやされ、飲まされまくったのだ。
「今日は城の方の用は特に無いと思うわ。」>ミレーユ
「じゃあ、街を探索してこようかな。」>誠司
「私は弟が心配なのでお留守番しています。」>ミレーユ
「ミレーユ様の護衛は任せてくれ。」>カレン
「私は料理の研究で忙しいので。」>春菜
「私も裁縫で忙しいので。」>未来
「そうか。じゃあ、一人で行ってくるよ。」>誠司
「ちょっと待った! 私がいるじゃない! 何で誘わないのよ!!」>愛莉
「愛莉さん、デートに行きませんか?」>誠司
「もう! 遅いわよ。仕方ないわね。デートしましょ。」>愛莉
「今日のところは譲りますわ。いってらっしゃい。」>ミレーユ
俺はすぐに治療魔法で2日酔いを治し、朝ご飯を急いで食べて身支度に向かった。
ミレーユも昨日目覚めたばかり弟のジョージ王子が心配で王城へ向かった。
「お父様、お母様、おはようございます。それでジョージの様子はいかがですか?」
「おはよう、ミレーユ。ジョージはもう大丈夫だ。今、顔を洗いに行っているだけだから落ち着きなさい。」>王
「良かった。また容体が急変したのかと心配してしまいましたわ。」>ミレーユ
「あっ! お姉さま、おはようございます。」>ジョージ
ミレーユはジョージに駆け寄り抱きしめた。
「おはよう。本当に良かった。どこか痛いところとか無いかしら?」>ミレーユ
「ミレーユ、そんなに強く抱きしめたら苦しいわよ。落ち着きなさい。また寝込んでしまったらどうするのよ。」>王妃
「あら、ごめんなさい。大丈夫? ジョージ。」>ミレーユ
「大丈夫ですよ、お姉さま。それにしても、お姉さまは良い匂いがしますね。」>ジョージ
「そうかしら? 誠司さんへの愛の力かしらね? うふふ。」>ミレーユ
「そんなはずないでしょ。何か隠しているわね。」>王妃
「どうでしょう。召喚者には秘密が多いものよ。私からはお話できませんわ。」
「とにかく、彼は有能なのは分かったわ。ミレーユ、絶対に逃してはいけませんよ。」>王妃
「もちろん、そのつもりよ。ところで、朝食はまだよね? 春菜さんが作ったパンとスープがあるけど、どうかしら?」>ミレーユ
「折角だし、頂こうかしらね。ジョセフ、朝食の準備は済んでいるのかしら?」>王妃
「こちらのパンとスープはお昼に回せますので問題ありません。」>執事ジョセフ
「そう。では、メリッサ。紅茶の用意だけお願いね。」>王妃
「お皿とスプーンもお願いね。」>ミレーユ
「畏まりました。」>メイド長メリッサ
小さなポーチから湯気の上がる鍋と次々と出てくるパンを見て王が驚いた。
メリッサによって並べられた皿にミレーユがスープとパンを並べていく。
メリッサが慌ててスープの入った鍋を手に取り、配膳を代わった。
「では、いただきましょうか。」>ミレーユ
「待ってください。毒味をしなければ。」>ジョセフ
「必要ないわ。春菜さんが毒を入れるわけないじゃない。改めていただきましょうか。」>ミレーユ
一口スープを口に含んだ全員が驚き固まった。
「お姉さま! とてもおいしいです。このスープはなんですか?」>ジョージ
「これは春菜さんが作ったジャガイモのポタージュよ。」>ミレーユ
「え? ジャガイモがこんなに滑らかなスープになるの?」>王妃
「なんだこの奥深いコクは。今まで食べてきたものと全然違うぞ。」>王
「お姉さま。このパンは柔らかくて、こっちはサクサクします。お姉さまはズルいです。毎日こんなにおいしいものを食べているのですか?」>ジョージ
「うふふ。そうね。こっちの柔らかいのがパターロール。こっちのサクサクはクロワッサンっていう名前だそうよ。お菓子もたくさん頂いたので、後で一緒に食べましょうね。」>ミレーユ
「もう今までのパンが食べられなくなりそうだな。」>王
「春菜さんはお料理の特殊能力をお持ちなのよ。このドレスを見てください。こちらは未来さんが作ってくださったのよ。着心地も抜群よ。彼女は裁縫の特殊能力をお持ちなの。そして、愛莉さんは魔法のエキスパートで賢者様よ。」>ミレーユ
「さすが召喚者というべきなのだろうな。ミレーユが嫁に行くことで彼らとの関係が深くなるだろう。この国が変わるかもしれないな。」
王子も加わり、久しぶりの家族団らんの楽しい食事ができた。
これも誠司さんのおかげだとミレーユは感謝するのだった。
「ところでミレーユよ。そのポーチはマジックバックなのか?」>王
「はい、そうです。昨夜、誠司さんから頂きました。」>ミレーユ
「そのスープは今朝作られたものなのか?」>王
「おそらく数日前かと思います。少しずつ準備していたと言ってましたので。誠司さんのお話では、このポーチの中の時間は止まっていると言っておりました。」>ミレーユ
「なんだと?! そのポーチは国宝級のお宝ではないか! ミレーユよ、そのポーチを吾に譲ってくれぬか?」>王
「絶対に無理です! お父様でも誠司さんから頂いたものをお譲ることはできません。」>ミレーユ
「あなた、何をおっしゃってるの? 愛する方から頂いたものを奪うことが許されると思っているのかしら? あとでじっくりとお話がありますので覚悟しておいてくださいね。」>王妃
王妃の引きつった微笑みに怯える王であった。
それから数時間のお説教があったらしい。
カレンが動物の世話が終わりミレーユと合流すると生気を失った王様がいたそうだ。
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