第39話 王子もいたのね
【転移者限定掲示板】
※第30話からの続き
81.裁縫師(女)
大丈夫。
忙しくてログインしていないだけだよ。
私は無事を信じているからね。
ー ー ー ー ここから ー ー ー ー
82.勇者(男)
みんな聞いたか?
コレクター君が謁見の間で大暴れしたらしいぞ。
83.アサシン(男)
聞いた聞いた!
コレクター君の威圧で全員が漏らしたらしい。
さらに王様を退任に追いやったんだってさ。
84.盗賊(男)
ガモジール団長は、王様を守れなかった責任を取らされて首になった。
副団長のジョイさんが団長になるんだってさ。
85.回復師(女)
王子様が次の王様になるってきいたわ。
前の王様は領地を広げるために戦争ばかりに力を入れてたけど、
王子様は民の幸せを重視してくれるらしいの。
それに加藤先生も付いてるからこの国は変わるかもね。
86.薬師(女)
それなら私はここに残ろうかしら。
コレクター君のお師匠さんのところで修業させてもらおうと思うの。
87.勇者(男)
俺もジョイさんにもう少し鍛えてもらおうかな。
勇者ってだけで変に期待されちゃって重いんだよね。
ここなら俺がポンコツだってバレてるから気楽で良い。
87.回復師(女)
私もセーラさんに弟子入りしようかな。
88.剣聖(女)
私は王女様のところに行くぞ。
もうゴブリンやオークは無理なのだ。
気持ち悪すぎなんだよ。
血の出ない魔物を斬り刻みたい!
89.聖女(女)
うちは向こうに行く!
コレクター君にちょっと興味があるんだ。
奪っちゃおうかしら?
90.鍛冶師(男)
俺も向こうに行くぜ。
ここの街にはドワーフの鍛冶屋が無かったんだ。
ファンタジーの世界の鍛冶屋って言ったらやはりドワーフだろ?
ドワーフに弟子入り希望だ。
91.コレクター(男)
パシフィックフォレストの王都に着いたよ。
こっちの王様も王妃様も良い人そうだよ。
それにみんなの受け入れも了承してくれたから安心してくれ。
住居とか受け入れ態勢が整ったら迎えに行くからもうちょっと待っててね。
92.聖女(女)
待ってるわ♡
**********************************
ギャル聖女に狙われてる気がする。怖い。
これは俺にもモテ期が来たんじゃないか?
でも、嫁はもうお腹いっぱいなので遠慮します。
掲示板を見ながらマイルームのリビングで寛いでいたのだが、なぜか隣には微笑む王女様がいるのだが。
「ミレーユ様。旅から帰ったのですからご両親と募る話があるんじゃないのですか? こちらにいても良いのですか?」
「婚約したのですからミレーユ、またはミレーと呼んでください。それにあなたの居るところが私の居場所ですわ。」
「そうですか。」
「それにね。王城の部屋よりもこちらの方が居心地が良いの。執事やメイド長もうるさいのよね。」
「ぶっちゃけましたね。それにしても俺と婚約して良かったのですか? 王女、いやミレーなら美人だし、隣国の王子とかとの話はあったんじゃないの?」
「そうね。王族なら7つになるころには許嫁ができるわね。私は一生結婚しないって言ってたからこの年までいなかったけど。それもあなたと出会うためだったと思うわ。」
時々、ミレーが俺の心にクリティカルヒットを食らわしてくるのだが。
俺がミレーに惚れるのも時間の問題かもしれない。
「忘れていたよ。王都に着いたらお別れになると思っていたから俺たちからミレーにプレゼントがあったんだ。せっかくだから受け取ってくれ。」
春菜の料理、未来の衣服、そして愛莉と俺で作ったネックレスの入った時間停止機能の付いたマジックバックのポーチを渡した。
「まあ、ありがとう。」
「こちらの世界の材料で作ったものだから外に出せるよ。ネックレスには状態異常無効のスキルが付与されてるから肌身離さず着けてて欲しい。念話もあるから魔力を込めて相手を意識すれば繋がるから。助けに行くので危険を感じたらすぐに念話を飛ばしてね。」
「わかったわ、ありがとう。お菓子もケーキもあるわ。嬉しい。お母様と頂いても良いかしら?」
「構わないよ、でも、お父様も誘ってあげてね。かわいそうだからさ。」
「うふふ。そうするわ。弟にも食べさせてあげたいのだけれど。。。」
「ん? 弟さんも居たの?」
「うん。でも、半年前に原因不明の病気になって、ずっと寝たままなの。たくさんの治療師に頼んだのだけれど治らなかったわ。」
「そうだったんだ。じゃあ、あとで会わせてもらえるかな。俺なら治せるかもしれないから。」
「え? 誠司さんは治療魔法も使えるの?」
「忘れたの? 君と出会った時にカレンさんの治療をしたのは俺でしょ?」
「そうでした! 本当にあなたは万能ね。さすが私が選んだ人だわ。早速で申し訳ありませんが弟に会ってもらえますか?」
「もちろん。愛莉、春菜、未来、ちょっと王子様に挨拶してくるよ。カレンさんは動物たちのお世話をよろしくね。」
「「「わかったわ。」」」
再び王城へ戻った。
「お母様。誠司さんがジョージに挨拶をしたいそうなの。良いかしら?」
「ジョージもお姉さんの結婚を祝ってくれると思うわ。ジョージも心配してたのよ。行き遅れになるんじゃないかって。その時は僕が一生守るって言ってたわよ。」
「あの子ったら。行き遅れはひどいわね。元気になったらお仕置きしなくっちゃ。それから春菜さんからお菓子をもらったから後でお茶にしましょう。」
「それじゃ、お茶の準備をして待ってるわ。」
ミレーの後についてジョージ王子の寝室に向かった。
ミレーは途中で出会ったメイド長にお茶の準備をお願いしていた。
王子の寝室のドアの前には白髪の老人が立っていた。
「ミレーユ様。お帰りなさいませ。」
「こちらは婚約した誠司様よ。ジョージに挨拶してくれるそうなの。ジョージの様態はどうかしら?」
「未だ眠ったままですが、徐々に衰弱しているようです。私が代わって差し上げたい。」
「そう。じゃあ、入るわね。誠司様、どうぞ。」
大きなベットには青白い顔の10歳程度の少年が眠っていた。
「私は廊下におりますので何かございましたらお声をかけてください。」
「わかったわ。」
ドアが閉まり、ミレーが王子のベットの側に駆け寄った。
「ジョージ! 誠司様がみてくださるそうよ。あなたの病気が治るかもしれないわ。誠司様、よろしくお願いします。」
「初めまして、ジョージ王子。私は田中誠司と申します。先ほどお姉さまのミレーユ様と婚約いたしました。これからよろしくお願いします。では、鑑定させていただきますね。」
*ステータス
名前: ジョージ・ローマン
称号: パシフィックフォレスト第1王子、【呪われし者(睡眠、弱体)】
職業: 剣士
性別: 男
年齢: 12歳
レベル: 1
スキル
剣術、身体強化、火魔法
「ミレー。彼は病気ではない。呪われている。呪いを解けば目覚めるはずだ。」
「だから治療魔法では治らなかったのね。解くことは可能なの?」
「もちろん。じゃあ、解呪するね。アンロック!」
王子が淡い光に包まれた後、どす黒い煙が立ち上った。
「ハイヒール! これで大丈夫だと思う。」
「本当?! ジョージ! 起きて、ジョージ!」
「どうかされましたか?!」
執事が慌てて部屋に入ってきた。
「ん-ん。お姉さま? おはようございます?」
「ジョージ!! 目を覚ましたのね! 誠司様、ありがとう。本当にありがとう。ううう。。。」
ミレーがジョージを抱きしめながら泣き崩れた。
「王と王妃様にお伝えしてきます!」
執事さんが転びそうになりながら慌てて部屋を出ていった。
年なんだから無理しちゃダメよ。
とにかく王子が治って良かった。
その夜、王城では俺たちの歓迎会と王子の快気祝いが盛大に行われた。
それから俺は王女と王子の命を救った救世主のような扱いをされるようになった。
とても居心地が悪いのだが。
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