第25話 ダンジョン5階層突破特典
オークジェネラルに苦戦し放置していた国だ。
同等のオーガ4体とそれ以上に強いミノタウロスを討伐することはできないだろう。
まず5階層を突破することは不可能で、6階層より深い階層に居れば捕まることはないと判断した。
当分はダンジョンに身を隠すことになるだろう。
俺は愛莉が側にいれば何もいらない。
ダンジョンの中で一生過ごすことになろうとも平気だ。
でも、春菜のことはどうしたら良いのだろうか。
悩みの種が増えてしまった。
春菜の料理はもう手放すことはできない程、俺の胃袋を捕らえてしまった。
晩飯を食ったばかりだが、明日の朝飯が気になってしまうほどだ。
『こんにちは。メビウスダンジョンマスターです。5階層を最初に攻略したあなたたちに私から特典を差し上げます。今後とも当ダンジョンをお楽しみください。』
【5階層突破特典】
・攻略済み階層間の移動を許可。スキル《ダンジョンフロア間転移》を付与。
・攻略済み階層の情報確認。
・攻略中フロアの変動を保留。
・攻略中フロアのマップ表示。フロア情報表示。
・ダンジョン商店の開放(安全エリア限定)
「おお! 攻略特典がもらえたみたいだね。早速、商店を使わせてもらおう。」
5階層-6階層間安全エリアに到着した俺は早速もらった商店を使わせてもらうことにした。
どうやって使うのかと思い悩んでいると目の前に小屋が現れた。
メビウス商店の看板があるので間違いなくこの小屋が商店なのだろう。
「いらっしゃいませ。メビウス商店へようこそにゃ。購入ですか? 買取ですか?」
店員さんの猫獣人さんが元気よく声をかけてくれた。
たまに語尾に『にゃ』がついてしまうのがかわいい。
「まず、買取をお願いします。その後、商品を見せてください。」
「わかったにゃ。カウンターの下にある扉を開いて売りたいものを放り込むにゃ。亜空間倉庫になってるから遠慮なくどんどん入れてもらって大丈夫にゃ。」
気を抜いたのか語尾がすべてにゃになった。
試しにインベントリに溢れているオークの死体を放り込んでみた。
明らかに入口よりもオークの方が大きいのだが吸い込まれていった。
確かに亜空間倉庫のようだ。
カウンターの表示板に『オーク 500銀貨』と表示された。
ダンジョン外の素材でも買い取れるらしい。
そうと分かればインベントリの肥やしとなっていた素材を全部買い取ってもらうことにした。
まず、ゴブリンの武器や低級の魔石は今後使い道はないだろう。
驚いたことにギルドでは買取できないゴブリンの死体ですら買い取ってもらえた。
ダンジョンに吸収されて魔素に変換されるため問題ないそうだ。
「随分溜まっていたのかにゃ? 凄い量にゃ。初回の取引だからサービスするにゃ。じゃあ、まとめて100金貨でどうにゃ?」
「問題ありません。では、今度は商品を見せてください。」
カウンターしかない店なのでどこに商品があるのか気になって確認した。
するとステータス画面に似た半透明のメニューボードが現れた。
武器や防具、素材や食料、ポーションなど、さまざまな商品が並んでいた。
現品がないため複製することは不可能だが。
「お勧めは『身代わりの鈴』にゃ。即死攻撃を受けた時、代わりに鈴の音を鳴らしながら砕け散るにゃ。1個10金貨だけど、持っていた方が良いにゃ。」
「じゃあ、それを3つください。それとこの奴隷契約無効印も3つお願いします。」
「奴隷契約無効印は5金貨にゃ。合わせて45金貨にゃ。3人ともカウンターに右手の甲を出すにゃ。」
お金を渡し、手の甲を出すとスタンプを押した。
手の甲には複雑な魔法陣が描かれていた。
しばらくすると体の中に吸収されるかのように魔法陣は消えた。
『スキル奴隷契約無効を獲得しました。』
「これで捕まったとしても奴隷化されることはないね。」
「お兄さんたちは追われているのかにゃ? サービスで1金貨で洗脳無効印も押してやるにゃ。今後とも御贔屓に頼むにゃ。」
『スキル洗脳無効を獲得しました。』
これで捕まった場合の対策は完璧だ。
それでも無理やり従わせようとしたら武力で反撃してやる。
それだけの力をこのダンジョンでレベルアップし獲得する予定だ。
「ちょっとだけ6階層を覗いてみないか? 攻略は明日にしよう。」
「わかったわ。」
「私は晩御飯の準備をしておくね。」
マイルームに春菜を残し、愛莉とともに6階層へ向かった。
【フロア情報】
場所: メビウス 6階層
フィールド: 森林
探索者: 2名
宝箱: 2個
魔物: シールドキャタピラー C 50
ポイズンスパイダー C+ 30
デスサイズビックマンティス(フロアボス) B- 1
・・・・・・ マップ ロード中
「ここは芋虫と蜘蛛と蟷螂のいる虫エリアのようだよ。おっと、マップのダウンロードが完了したか。結構広い森だね。7階層への階段は無いからフロアボスを倒すことで出現するパターンのようだよ。」
「まだGじゃないからまだ良いけど、虫は苦手なのよね。」
俺もG(ゴキブリ)は苦手だ。
「それじゃ、速攻で攻略して7階層に行こう。」
確認が済んだので春菜が待っているマイルームへ戻った。
「ただいま。6階層は虫エリアだったよ。」
「うわっ。私、虫が苦手なんです。」
「春菜もか。6階層は速攻で攻略しようと愛莉とも話してたんだ。」
今日の晩飯はカツ丼でした。
まさか異世界でまたカツ丼が食えるとは思わなかった。
今日もおいしゅうございました。
ちなみに肉はオークを使ったらしい。
春菜と愛莉が虫に襲われる悪夢を見て魘されないことを祈りつつ眠りについた。
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