第24話 ダンジョン 4,5階層
「追手が迫っているようだ。遅くても明日の朝にはダンジョンへの捜索が開始されると思う。急いで奥に向かうよ。午後は全力で行くから2人ともMP回復薬飲んで。ちなみに今日のはピーチ風味にしてみました。」
「もう一本ほしくなる味ね。MP全快したからガンガンいくわよ。」
「私も頑張ります!」
変動が完了したダンジョンへ向かう。
次は4階層だ。
5階層からという情報だったのだが、4階層も広い草原フロアだった。
俺のイメージでは目の前に見える魔物は草食動物なのだが、ここでは違うらしい。
明らかにこちらを獲物として見ている。
*鑑定
種族: ホーンラビット(兎)
ランク: F
スキル: 頭突き、跳躍、逃走
弱点: 腹、角
アイテム: 魔石、角、毛皮、肉、銅鉱石
*鑑定
種族: スリープシープ(羊)
ランク: F+
スキル: 頭突き、睡魔、群れる
弱点: 腹、首
アイテム: 魔石、角、羊毛、肉、銅鉱石
*鑑定
種族: バーサーカーブル(牛)
ランク: E
スキル: 狂化、突進、突き上げ、蹴り
弱点: 腹、首
アイテム: 魔石、角、革、肉、銅鉱石
ホーンラビットは1本の角がある可愛らしいウサギなのだが、牙をむいて襲ってくるのだ。
ギャップが酷過ぎる。
女の子は可愛いから殺すのを躊躇うかと思ったのだが、容赦なく焼き払っていた。
特に春菜には食材にしか見えていないらしい。
よだれを拭いてください。
「今晩はウサギ肉のシチューにします。」
そして、この階層では銅がドロップする。
銅は熱も電気も通しやすいので用途がいろいろ考えられる。
落ち着いたら地球の知識を応用したアイテムを作ってみようと考えている。
他の羊や牛の素材も用途が多い。
それに肉が楽しみだ。
オークがうまかったので期待している。
あとは鶏肉がほしいね。
「誠司さん! やっと無詠唱をマスターしましたよ。連射し過ぎてMPがヤバいので回復薬をください。」
「はいよ。ちなみにレベルはいくつになった?」
「えっと、Lv.30を越えましたね。中級魔法も使えるようになりましたよ。料理よりも魔法の熟練度が上がっているようなのですが転職できないのかな? ゲームみたいに神殿で転職の儀式をうけるとかね。」
「落ち着いたら教会に行ってみよう。それとLv.30超えたなら経験値の配分を変えようかな。俺と愛莉が30%で春菜が40%でどう? 愛莉、それでいいかい?」
「OKよ。向こうに牛の群れが居るから行きましょう。」
しばらく群れを殲滅しながら移動を続けていると草原に1本だけ生えた大木が見えてきた。
マップによると木の根元に5階層への階段があるらしい。
「愛莉、春菜。階段を見つけたよ。あの大木の根元にあるからあそこまで競争ね。」
「わかったわ。負けないからね!」
「私だって負けませんよ!」
身体強化を発動した俺に勝てるわけないじゃんと思っていたのだが、先頭を走る俺は立ちはだかる魔物たちを蹴散らしながらになってしまうため遅れてしまう。
その隙をついて2人に追い抜かれてしまった。
「誠司君が負けたので今日の皿洗いは誠司君がやってね。」
「仕方ない。わかったよ。」
安全エリアで十分休憩し、いよいよ本番の5階層だ。
「5階層はまだ誰も制覇していない階層だ。何があるかわからないから十分に注意していこう。」
「わかったわ。私の作ったケーキおいしかった?」
「もちろんだ。春菜の料理は何でもおいしいよ。」
「お嫁さんになってあげても良いんだからね。」
「「え??」」
愛莉も春菜の突然の告白に焦った。
「春菜の気持ちはうれしいのだが、俺には心に決めた愛莉がいるから。」
愛莉が真っ赤になった。
そういえば、ちゃんと告白していなかったな。
俺は愛莉を守るために強くなった。
そして、今は相棒ではあるがもちろん恋愛対象でもある。
「あら? この世界は一夫多妻が認められているそうよ。魔物のいる世界だから男が不足してしまう地域も多いんだって。それに貴族は側室がいるのは当然らしいわ。愛莉ちゃんは嫌かな?」
「正直、私にも独占欲はあるわ。でも、春菜ちゃんなら仲良くやっていけそうな気もするし、もう少し考えさせて。」
春菜の担当メイドはおしゃべりで、一方的にこちらの世界の情報や下世話な話をしていたそうだ。
そして心に決めた人が出来たらいつ死ぬかわからないのだからすぐに手に入れろとアドバイスしたらしい。
昨日の朝、初めて話して仲間になったばかりなのだが。
動揺しているが、俺的には嫌な気はしていない。
これが噂のハーレムってやつか。
判断は愛莉に任せよう。
「その話は逃げきれて落ち着いてからまたしよう。とにかく今日はこの5階層を制覇しなければ俺たちに明るい未来は無い。全力でいくよ。」
「「了解!」」
5階層は情報通りの草原だった。
しかし、4階層とは違い、複数の森が点在していた。
したがって、森が邪魔で先が見えず視界が悪いのだ。
そして現れたのがオークと上位種のハイオークだった。
*鑑定
種族: オーク
ランク: E
スキル: 武術、強打、身体強化
弱点: 首、腹、火魔法
アイテム: 魔石、武器、革、肉、銀鉱石
*鑑定
種族: ハイオーク
ランク: E+
スキル: 武術、身体強化、回避
弱点: 首、腹、火魔法
アイテム: 魔石、武器、革、肉、銀鉱石
集落を潰したときには周囲の森への引火の恐れがあったため氷や風魔法を使っていたがダンジョンなので遠慮はいらない。
森が燃えたとしても12時間ごとの変動で再生されるだろう。
「「「ファイアストーム!」」」
3人がそれぞれ別の群れに向かって魔法を放つ。
狩りは楽なのだがドロップアイテムを拾い集めるのが面倒くさい。
目視できるものはインベントリへ収納できるのだが、さすがに死角にあるものは無理だ。
残念だが今回は経験値と速度を重視し、容易に拾えないアイテムは諦めることにした。
すると森から1本の角が生え、大きな1つの目を持つ青鬼が現れた。
全長3mはありそうな筋肉隆々の鬼で、大きな棍棒を担いでいた。
*鑑定
種族: オーガ(中ボス1/4)
ランク: C
スキル: 棒術、威圧、超再生、強打、身体強化、土魔法耐性
弱点: 首、腹、雷魔法
アイテム: 魔石、棍棒、革、ミスリル銀鉱石
「気を付けて。オークジェネラルと同じCランクだ。さらに超再生を持っているので中途半端な攻撃では回復してしまうと思う。全力で行こう。雷魔法が弱点だ。」
オーガが怒号とともに威圧を放った。
状態異常無効の俺たちには効かないが、あまりの声の大きさに驚いてしまった。
すぐに我に返って俺は2人に声をかけ臨戦態勢をとった。
「サンダーボルト!」
「サンダーストーム!」
「サンダースラッシュ!」
春菜のサンダーボルトで痺れて動けなくなり、愛莉のサンダーストームで連発する雷に打たれ黒焦げになった。
そして、剣に雷を付与した俺は斬撃を飛ばし、オーガの首を刎ねた。
『オーガNo.1を倒しました。残り3体。』
「ん? オーガが4体いるようだね。全部倒すことがキーになっていそうだね。」
「そうですね。残りのオーガを探しましょう。」
「オーガは森に住んでいるみたいだから森を焼き払っちゃお。」
「愛莉は怖いこというね。でも、その方が早いかもね。」
オークを狩りつつ、森を焼き払いながらオーガを探す。
そして、4体目のオーガを倒した。
『オーガNo.4を倒しました。オーガ全ての討伐を確認しました。5階層フロアボス、ミノタウロスを開放します。』
5階層中央付近に光り輝く魔法陣が現れた。
そこから4mはある黒い2足歩行の魔物が召喚された。
顔は牛、身体はゴリマッチョ。
こちらを睨みつけ咆哮した。
空気が震えた。
*鑑定
種族: ミノタウロス(5階層フロアボス)
ランク: C+
スキル: 斧術、威圧、超再生、強打、身体強化、回避、加速、火魔法
弱点: 首、胸、腹、氷魔法
アイテム: 魔石、バトルアックス、革、肉、角、ミスリル銀鉱石、宝箱
「さっきのオーガよりも強い。火魔法も使えるから距離があっても油断するな。あと、氷魔法が弱点だ。」
「ブリザード!」
「アイススピア!」
愛莉のブリザードで周囲が凍り付き、ミノタウロスの足も凍り付いた。
春菜の氷の槍がミノタウロスの胸を貫いた。
俺は転移で背後に回り、首を切り落とす勢いで剣を振りぬいたが筋肉に阻まれた。
急いで距離をとった。
ミノタウロスが怒りの咆哮をあげ、体中が炎に包まれた。
するとミノタウロスの身体に纏わり着いていた氷が全て溶けてしまった。
胸や首のキズも超再生で回復してしまった。
「2人とも全力で行くから離れて。私の最大の氷魔法を食らうといいわ。行くわよ! アブソリュート・ゼロ!!」
空気さえも凍ったのではないかと錯覚するほどの静けさの中、ミノタウロスは氷の像となっていた。
炎で温まった身体が急速冷凍されたことで脆くなり、ピキピキと音を立てながら至る所にヒビが入っていく。
俺は跳躍を使ってミノタウロスの胸の位置までジャンプし、渾身の正拳突きを叩き込んだ。
パリンっという甲高い音とともに氷の像のミノタウロスが砕け散った。
『5階層フロアボスのミノタウロスの討伐を確認しました。6階層を開放します。』
目の前に6階層への階段が現れた。
そして、散らばるドロップアイテムの中に宝箱があった。
宝箱には指輪が入っていた。
*鑑定
魔導士の指輪
MP:+100、INT:+100、MP回復速度・回復量増強
「この指輪は愛莉が装備してくれ。」
「うん。ありがとう。」
「春菜には次回ピッタリのアイテムが出た時に渡すね。」
「はい。婚約指輪でも良いんですよ? うふふ。」
「ははは。。。」
笑って誤魔化しておこう。
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