第5話 ロード・オブ・メッセンジャー

 必要なものを、必要とする者へ送り届ける。

 配送人メッセンジャーの彼にとって、生きることは、‟届け”、‟繋げて”、そして“逃げる”ことだった。

 ハロウィンの夢ナイトメアの出現により、生者仮装者が盛大な悪あがきを起こし始めた頃。

 彼の取った行動は、家族であり師でもある叔父と共に街を駆け回り、命を追う“死”モール・モースを翻弄する一陣の風となることだった。

「叔父貴!これさすがにヤバくないか!」

「やっぱり!仕事のついででやるもんじゃなかったな!」

「ったく!兄貴の趣味なんぞに付き合うんじゃなかったぜ!!」

 時には、雪崩のような巨大な‟死”モール・モースの群れに襲われる危機を味わいながらも、彼は“生きる”ために、そして“生かす”ために逃げ続けた。

 それが悪夢ハロウィンの夢となった兄とは異なる、配送人メッセンジャーとしての彼の生き方だった。

 そんな彼が、"死"モール・モースをも恐れぬ伝説の配送人ロード・オブ・メッセンジャーと呼ばれるようになるのは、もう少し先の話である。

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