第4話 フライ・ダディとダンシング・ハート

“死”モール・モースは宙を泳ぐ光に惹かれ、まんまと釣りビトフライング・ダディに釣り上げられた。

「また獲った」

「魚釣りより簡単そうね」

そっちの方が断然手強いさ」

 得意気に釣り竿を振るう釣りビトフライ・ダディは、とにかく活きる趣味を愉しむことに忙しい男だった。

 どれだけ仕事が忙しくとも、休日は渓流釣りフライフィッシングに出かけ、馴染みの宿で釣り仲間と盛り上がる事を欠かさない。

 そんな釣りビトフライ・ダディダンシング・ハートも負けず劣らずな女性で、現在も舞台上で若者顔負けのキレのある舞踏ダンスを披露している。

 ふたりは、お互いの活き方人生を尊重しながら今を生きていた。

「そろそろ離れるか」

「別にコソコソ手伝うことないと思うけど」

「いい年して、親に手助けされるなんて知ったら恥ずかしいだろ」

「そんなひねくれた子に育ててないわ。照れくさいんでしょ?」

「何の事だよ」

 現在、夫婦には揃って始めた新しい活き方趣味があった。

 それは、ハロウィンの夢ナイトメアと呼ばれるようになった、息子の途方もない悪あがきに、影ながら悪乗り応援することだった。

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