侵略者と守護者
第1話 諦めてたまるか
「我々はこれより賢者の石強奪作戦に移行する!!!」
「おー!!!」
「「???」」
部長からの収集命令により集められたヤクチュウとマリリンの二人は混乱する。特に、いつもは八宝菜を窘めるそふかがやけに気合いが入ってることがその混乱に拍車をかけた。
「どういうこと……???」
「話が見えないんだけど」
「お前ら、賢者の石は欲しいか!?」
「え、うん」
「まぁ、それ見つけたの私達だしね」
八宝菜の熱量に引きながら、二人は頷く。
賢者の石──数々のフィクションに登場する錬金術師垂涎のアイテム。
『FMB』においては精霊の里にあるとの情報をマリリンは掴んだが、実物を見たことはなかった。
というのも、賢者の石は精霊の里でも極一部の者しか扱うことのできない代物であり、部外者に見せるなど持っての他だからだ。
「で、急にどしたの?」
「雲日が死んだ」
「えっ!?」
ヤクチュウが思わず声を上げる。兎の魔物を貰ったことで使役獣に興味があった彼女は、雲日や陰諧をたまに撫でさせてもらっていた。
「んで、話を聞くと賢者の石って死者蘇生できるらしいじゃん?」
「なら奪うしかないよね」
あのあと、怒りの余りつい神皇国ごと滅ぼしてしまった二人は、すぐさま行動に出た。
蘇生手段を探し出し、ヤクチュウとマリリンからその存在を聞き、それが部外者が使用することはできないと知ってからは殺して奪うことを即決した。
あの程度で二人の心が折れることはなかった。勿論、そふかの落ち込みようは酷かったが、八宝菜の誘導によって見事怒りに置き換わった。
八宝菜より理性的で普段暴走を抑えている側のそふかがゴーサインを出したのだ。止めるものはもういない。壊れたのは心ではなく、ブレーキだった。
「ふふふ、こちとらこのために超レベ上げしてきたんだからな……ぶっ殺してやんよ精霊どもぉ……!」
「殺す……殺して一刻も早く蘇生させなきゃ……」
「何か二人が怖いよ!!!」
「目当てのものがあると割りとこんなんでしょ」
二人が止まることを知らないのを察知して、マリリンは呆れたように溜め息を吐いた。
Freelife・Make&Break 外伝 ~部長と副部長のプレイログ~ 魚水水鬼 @fish-water0801
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