第2話 海賊退治の旅 ~蒼華と愉快な絵描きたち~
「まぁぶっちゃけ、こんなことだろうとは思ったよ」
「だって、俺たちバトル系そんなに得意じゃないし……」
「だって、普通に絵描くだけだったら別にそこら辺の暇人を人数合わせで連れてけばいいし……」
よく一人称がコロコロ変わる番長と、手のひらサイズに戻ったバッグ・クロージャーは言い訳を続ける。
「“だってだって”って、君たちは幼児か?」
「幼児は八宝菜だろ」
「それはそう」
「草」
扱いが酷いどこぞの部長は自業自得なので置いておいて。三人は今、海にいる。
「“海賊との戦闘描写を描きたいから、今王都で有名な海賊団を討伐しに行く”……ねぇ。スケジュールって知ってる?」
「本当に申し訳ない」
「その言葉は夏休みの宿題が終わってないわたしに刺さる……!」
「馬鹿?」
手加減なしの罵倒がバッグ・クロージャーを抉った。こちらも自業自得である。
「それで、詳細は?」
「へ?」
バッグ・クロージャーが気の抜けた声を出す。
「だから、その海賊の詳細だよ。海賊団の名称、規模、ボスの名前、船員の構成、使ってくる武器、魔法、出没場所、船の大きさ、構造。情報の共有は必要だろ?」
「あーうん」
「ソウデスネ」
煮え切らない二人の態度に、そふかは嫌な予感を覚えた。
「……まさか、よく確認もせずに来た、なんてことないだろうね?」
「Exactly」
「死ね」
「すんません」
容赦ない罵倒が二人を襲う。自業自得。
「ま、まぁほらあれじゃん? あれだよあれ」
「日本語分かんなくなった???」
「ちゃうんすよ、ほら。酒場で聞き込みとか、そういうロールプレイしたいじゃん?」
「そうそう、お決まりお決まり」
「全部準備終わってて後はぶっ飛ばすだけですーってのも味気ないじゃん???」
冷ややかなそふかの目から逃れるべく、二人は必死に言い訳した。逃れられていないが。
「……今はその説明で言いくるめられてあげるよ」
「「あざーーーーー!!!」」
完全に舎弟である。
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