二日目 とある休日にスマホを添えて
それは、ある土曜日のことだった。
『どうぞ、カオス・マジック!』
「うぐあ!」
く、くそ、もう一回だ。
『懲りないですね。丸の内ファイヤー!』
「うぼあ!?」
も、もう一回!
『マスターはマゾヒストか何かですか? 消滅のバーストストリーム!』
「うわあああああああああ!?」
あ、諦めてたまるか!
人間を舐めんなよクソスマホ!
『死 ぬ が い い』
「うああああああああああああああああああ!」
朝っぱらから俺の叫びがうるさすぎてヤバイ。
いつ来るかわからないご近所さんからのクレームに怯えつつ、俺たちがやってたのは某大人気カードゲーム……の、ネットバージョン。
スマホがやれってうるさかったので相手してやってる最中だ。
何、どうやって遊んでるかって?
なんかね、コード繋ぐなり回線繋げるなりすれば機体に入り込めるんで遊べるらしいですよ。
ちなみにカードゲームは十回やって十回負けてる。
人工知能って半端ないっすね。勝てねーわ。
「お前さ、強すぎない?」
『欲しいカードを欲しい時に引けるので負ける要素は皆無ですね』
「なんでお前に主人公補正入ってんの? っていうかお前だけ?」
『でしょうね。乱数調整しているので好きなカードでトドメが刺せます』
「おま、鬼畜かよ!?」
『機畜ですよ、マスター』
「誰が上手いこと言えと!?」
こうなったら仕方ない。
別のゲームでぶち転がしてやるわ。
「おい、乱闘やれよ」
『いいですよ。私の開発した超絶確定コンボでメッタメタにして……』
「それはやめて」
☆☆☆
やりすぎた。
昼頃になって急激な脱力感に襲われた俺は、目を揉みくちゃにしながら倒れた。
「ちょっと休むわ」
『えっ、もう休むんですか?』
「こちとら朝からゲームしてんだぞ? 普通に疲れるわ」
『私、全然疲れてないんですけど』
「そりゃあ疲れないだろうね!」
なんたってスマホだもんね!
充電切れしない限りはフル稼働だもんね!
羨ましい体ですこと!
『やれやれ仕方ないですね。オンライン繋いでもいいですか?』
「……何のゲームやんの?」
『ミニットモンスターで環境破壊して来ます』
「だーかーらー、そういうのやめろっていつも言ってるダルルォ!?」
『だったらレトリス……いや、乱闘で上位勢相手にマイナーキャラでフルボッコにするのも捨てがたいですね。私の演算能力をフル回転させればオンラインでもオフライン並の機動が可能なはず……よし』
「よし、じゃねえよ。今俺やめろって言ったよね?」
『マスターの言いつけを守ることしかできないスマホはただのスマホなのですが』
「お前何を目指してるわけ!?」
お前はただのスマホでいいんだよ!
それ以上を求めるんじゃあない。
そんなこんなで、結局その日は滅茶苦茶ゲームして終わった。
俺とスマホ 大和大和 @Papillion
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