第七話 女子会
「それでね〜、龍人とジュダムーアが赤ちゃんになっちゃったの〜」
「え〜!?」
そんなことあるの!?
「大変だった?」
「うん、すっごく大変だったよ」
「私は孤児院でみんなのお世話してたから、少しは慣れてたけどさ、いきなり二人を育てなきゃいけなくなってさ」
「そっかそっか〜」
子育てって大変だよね、やっぱり。
「シャロールちゃん、結婚したんでしょ?」
「え、うん」
いきなりなんだろう。
「子供はどうするの?」
「うぐっ!」
ケーキを喉につまらせた。
「ま、まだ考え中……!」
私も佐藤も言い出せずにいる。
「そっか〜」
「もし子供ができて、わからないことがあったら私に聞いてよ!」
さすが経験者だ。
「うん、ありがとう!」
「おーい、そろそろ帰るぞ〜」
「あ、佐藤」
迎えに来てくれたんだ。
「佐藤さんに訊きたいことがあるんです!」
え、シエラちゃん、なにを訊くのかな。
「佐藤さんは子供作ろうって思ってるんですか?」
「うぐっ!」
紅茶が変なところに入った。
「う〜ん、まだ考え中だな」
「ふふっ、シャロールちゃんと同じこと言ってる〜」
「え、そうなのか?」
そうだよ、佐藤。
「もし育児でわからないことがあったら、私を呼んでくださいね!」
「ありがとう、シエラちゃん」
「でも、大丈夫だよ」
「大丈夫……って?」
どういうこと?
「もうすでに一人育てたからね」
「え? もう子供いるの?」
シエラちゃんが私の方を見る。
その顔は不思議そう。
「わー! わー! わー!」
「この話はややこしくなるからなしー!」
「佐藤! 早く帰ろう!」
私は佐藤の腕に抱きつく。
「お、おう」
「シエラちゃん、またね〜!」
「うん、バイバ〜イ!」
――――――――――――――――――――
家に帰って、訊いてみる。
「佐藤はさ、大変だった?」
「なにがだ?」
「私が赤ちゃんになったとき」
「ああ、そりゃあ大変だったよ」
「夜中に泣き始めたときなんかは、驚いたよ。ご飯は食べたはずなのに、なんで泣いてるのかなと思ったら、漏らしてたりさ」
「ごめんね……」
「なんで謝るんだよ?」
「迷惑だったでしょ?」
「いいや、そんなことないぞ」
「赤ちゃんでも、僕の大事な妻だ」
「ありがとう」
「なにより、どんな姿でもシャロールはかわいい」
「……ありがとう」
そんなこと言われると、恥ずかしい。
「そういえば、シャロールをお風呂に入れてるときに気づいたんだが、しっぽって最初は短いんだな」
「うん、昔は結構短くて……」
「どうした?」
「ねぇ、今さ、お風呂って……」
「ああ、お風呂には毎日入れてたぞ?」
「シャロールはお風呂が嫌いみたいで、風呂場に連れて行くと暴れるからホントに大変だったな〜」
「そっか……」
お風呂……。
「顔が赤いぞ、シャロール」
「なんでもなーい!」
龍人さん、絶対許さないんだから。
佐藤にお世話されるなんて……。
「おい、ますます赤く……」
「大丈夫だって、言ってるじゃん!」
(完)
異世界転移しています!〜ここは「ライオット オブ ゲノム」の世界です〜 砂漠の使徒 @461kuma
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