第13話 CR-Xの靖子ちゃん

ロータス7にする前は、CR-Xが2台だった。

なぜ2台かと言うと、1代目は

パチンコ屋から出てきた130Zに側突されて、直ったけど

なーんとなく、感じが違ってしまった。

ボディの強度とか、あるのだろう。


タック・インとかすると・・・なんか、よれるような動きをするようになった。


それまでは


アクセル戻す。

テール出るからハンドル戻す。

全開!


だったが


アクセル戻す。

テール出る。

ふにゃ。

ハンドル戻す。

全開!



になった(^^)。


ノーマルタイヤのASPECで、である。



それと・・・・馴染みのバイク屋さんにVMAXの中古が入って。

「乗らないか」と、オヤジさんに言われたので


「クルマのローンが残ってる」と言ったら、バイク屋さんの息子が

丁度クルマを買う、と言うので・・・。


なんとなく、売ることに(笑)。



で・・・・しばらくはアルト(4stの、SS40v型)を

15万で譲ってもらって。

それとVmaxに乗ろうと思っていたけど

良く見ると、そのバイクが結構汚い(笑)錆びてるし。



それで・・・・。商談不成立(笑)あの時はホントに申し訳ないと思ったけど

気にいらないバイクじゃ、ね。




それで、アルトに乗ってる時、改造マニアの友人が「L型の3000ccエンジンを載せない?


と言ったので


スカイライン(R30)を買ってきて。



その後、またコーナリングマシンが欲しくなってCR-X(後期E-EF7)にした。



ワケ。




それは、これと言って不満は無かったのだが。






その、1代目のCR-Xに乗っている頃・・・・俺はと言うと

芝浦の電気メーカーに居た。



ここが、まあ・・・・場所柄と言うか・・・・。


ゼロヨン族が結構居て。




ルーレット族も結構居た。


同僚の靖子は、当時(22)だったかな。

山形から出てきて雪谷に住んでいる、色白、黒髪、黒目がちの大きな瞳。

ちょっと

中東っぽい雰囲気もある、鷲尾いさ子、と言う感じの美人。


だったのだけど、その子が黒のCR-Xに乗ってると言ったので


「俺、赤だよ」と言うと、いつもおすまし美人の、靖子は

急に、にこっ、と笑って「あたし、パイロットになりたかったの」と。


俺は、青葉台の寮に住んでいて、それを話すと「送ってあげる」と。


仕事が5時半で終わると、一緒に靖子のアパートまで行って。

それから、青葉台までドライブ、と言う事になったり。



「友達と言っても、随分気軽に・・・」とは思ったが

別に、悪い子ではなし。

美人だし、可愛いし。



「ひとり暮らしで淋しいの」とか、そんな話をするとき

じっ、と大きな瞳で見る。


面白い子だった。


もっとも、そうなるまでは随分時間があって。

最初に俺がそこのオフィスに入った頃・・・・靖子は時々、不機嫌そうに

足をぱたぱた、したり。


どうしたんだろう?と、俺も思ったけど

仕事中なので、知らん顔していた。



新人歓迎コンパの時、靖子は上機嫌になって

俺の傍に来て。にこにこ。

お酒を注いでくれたりして。


「あ、呑めないので」と言うと


靖子は「そー、じゃ、あたし、呑んじゃう」と、結構、がばがば呑んで

倒れたり。



無鉄砲な子だった。



短パンに、シャツ。素っ気無いけど

シャツの前をはだけたり、股開いて寝転がったり。


どっきり(笑)。美人さんなのになぁ、と・・・。


最後は、同僚たちにアパートまで送ってもらったりして。






それで・・・少し仲良くなったり。







靖子のドライビングも、無鉄砲な感じで

コーナーに突っ込んで、ブレーキ。

ハンドル切ると加速。


自然にテールが出るのはCR-Xの美点で、巧く掴んでいた。


テールが出るのに連れて、ハンドルを戻して全開!である。



130psとはいえ、十分速い。




俺は「箱根の麓に住んでるから、たまーに走りに来れば」と言うと



靖子は運転しながら頷く。



そばに居ると、ちょっといい香りがして。

なんとなく少女の面影のある靖子を、好きになってしまいそうだった。


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