安息の地





 生きたい。

 死にたい。

 どうでもいい。

 立ち向かいたい。

 竜になりたい。

 竜になれば。

 人間でなくなれば逃げられると思った?

 逃げられれば現状を打破できると思った?

 逃げられる?

 逃げたい?

 いいや。

 ずっと逃げ続けている。

 ここに籠ってずっと。

 身体がここから動かなくなったって。

 私はずっと必死になって逃げ続けている。

 逃げ続けているのに現状打破できないのだ。 

 だから私が本当に望んでいるのはきっと。

 休める場所だ。

 他人もおらず、自我さえない安息の地。


 休めて初めて、次へと動ける。

 いいや違う。

 言葉が生まれる。

 寒いとか、熱いとか、涼しいとか、温かいとか、暗いとか、明るいとか、静かだとか、煩いだとか。

 他愛のない言葉が、ぽつり、ぽつりと。

 けれどひとつ、またひとつと増えて行って。

 ただの想像だ。

 休んでないからわからない。




 休みたい。

 けれど休む方法がわからない。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

流れる竜は粒を留めて高昇する 藤泉都理 @fujitori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ