霞草

 飽きもせずに さざめく雨粒に

 打たれて傾ぐ道の花

 昨日と同じ言葉で繋いだ

 凪いでくれない風の中


 街に降る雨の全てに

 君を散りばめているのなら

 傘をさし歩く僕は

 どれだけ読み取って来たんだろう


 降り疲れた雨上がりの日々

 きっと忘れたがる日は来ないだろう

 振り切った想い 逆さま昇っていく

 穿つより他に道は無かったの

 水溜まりに映る君は堪えたの?


 話し 重ね 何より価値ある

 こんなにも脆いこの日々に

 しがみついた 醜い心だけ

 消してしまうことも出来なくて


 彩る言葉の在り処を

 探ってしまう遣る瀬無さも

 焦がれて潰える幸せを

 互いに課した証拠なんでしょう


 沈んだ思い出の欠片よりは

 埋めるための時を望んでるんだろう

 降りきった惨然な雨に育まれた

 あの花は僕を見ても笑ったの

 水溜まりに沈む日々は来ないだろう


 雨の日に君は言っていたよね

「少しだけ雨が好きなんだよ」

 天候の糾弾に紛れて

 言葉を紡いでも聞かれない

 この雨が止んだ時に

 君の声は聞けないのかい

 それならば迎えに行こう

 君の下へ 傘の中へ


 当て嵌めて埋めたパズルのように

 剥がれては宛がってを繰り返した

 閉じた傘の向こうに咲いてる

 あの花は僕だけを見ていたんだね


 水溜まりに映る君は堪えたろう?

 逆さまに沈む日々は来なくても

 君の目に映る僕は答えたの

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