第2話 地球のみんなは羨ましいでしょう?

 宇宙にはね、時計がないんだ。時間という概念がないんだ。

 好きなときに起きて、好きなときに走り回って、疲れたら眠って、起きたら飛び回って。いつ、何をしても、誰も怒らない。

 地球のみんなは羨ましいでしょう?

宿題もないし、子どもは寝る時間だよ、なんて怒られることもないんだもの。


 だから僕は、ストレスというものを知らない。

 地球のみんなは羨ましいでしょう?

 イライラすることも、胃がキリキリすることも、眠れなくなることもないんだもの。


 今日も僕は宇宙の空間を飛び回って遊ぶ。この大きな、真っ白な羽根をバサッバサッとはためかせて。

 

 勢いよく飛び回ったせいか、羽根が何枚か抜けてしまった。

 その羽根は、重力に負けることなくその場にとどまり、僕が飛んだ軌道に残ったまま揺れている。まるで、僕が妖精みたいにきらきらの粉を振りまいているようだ。

 飛行機雲、っていうんでしょう?

 白い線になって、通った道に残る雲のこと。僕の羽根は、僕が通った道をみんなに教えるかのように、その場にふわふわ浮いている。


 この宇宙の群青色に、真っ白な羽根が混ざって、宇宙の色が薄くなっていくみたい。群青色から青に。青から水色に。


 大変だ……! そんなに薄くなったら、宇宙が白くなっちゃうよ……! 僕の姿が見えなくなっちゃうよ……! 

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