きらきらの羽根

幻中六花

第1話 宇宙にはね、風がないんだ。

 広い宇宙の空間に、僕は生きている。人は僕をペガサスって呼ぶ。

 見た目は真っ白の馬だけど、普通の馬にはないふわふわの羽根が、僕には付いている。この羽根で宇宙を飛ぶことができるんだ。

 

 宇宙にはね、風がないんだ。重力もない。だから、行きたい方向にすぐに曲がれる。どこに行くにも自由なんだ。

 

 地球からは、星があまり見えないんでしょう?

 雲があると見えないし、空気が汚なかったり、灯りが多いとよく見えないんでしょう?

 僕がいるこの宇宙からは、星が手の届きそうなくらい近くに、たくさんあるんだ。大きいのも、小さいのも、眩しいのも、枯れそうなのも、流れているのも。

 たくさんの星が僕を包むようにちりばめられているんだ。まるでステージでライトを浴びているみたいだよ。


 あの小さくて青っぽい星が、地球。今日も雲が多そうだ。それでも、他の星と比べると青くて綺麗なんだよ。


 今日は気分がいいから、僕は宇宙を散歩する。

 この真っ白でふわふわな、大きな羽根をバサッバサッとはためかせて。僕はこうして走っている瞬間が大好きなんだ。


 宇宙にはね、風がないんだ。だから、風が流れるようなことはない。

 でも、僕が走っているときは、僕だけ感じることができる。そこにある空間の存在を、切り裂くように走るのが楽しいんだ。

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