第24話

「今日は各委員会の役員を決めるぞ。まずは学級委員だ。やりたい奴いるか?」


 言いそびれていたが担任はまた在原先生だ。無気力な感じと死んだ魚のような目が懐かしい。

 そして案の定誰も学級委員をやりたがらなかった。


「まぁいねぇよな。てことでクジで決める」


 手元にあった余分なプリントで人数分のクジを作り始める先生。皆それを無言で見つめている。


「これから配るから中開いて〇が描かれてたらそれが学級委員の証だ。学級委員は2人な」


 先生は作ったクジを手元で軽くシャッフルし、先頭の人に列の人数分だけ渡していく。前の人から送られてきたクジの中から適当に一つ選び後ろへ送る。

 中を開くとそこには綺麗な〇が描かれていた。


「あー……」

「あら蒼太くん。お揃いですね」

「……え?」

「ほら。私にも〇が付いてます」


 紅愛が紙を開いて見せてくれる。そこには俺と同じく綺麗な〇が描かれていた。


「あ?お前ら2人か…言っとくけど不正はしてないからな?」


 それは分かる。本当に奇跡だったのだろう。凄いな。どのくらいの確率なんだ?

 隣を見れば紅愛が嬉しそうに紙を持った両手を胸に当てている。


「ふふっ♪蒼太くんとお揃いです♪」

「それじゃあお前らに今から進行してもらう。2人共前に出てくれ。神谷は筆箱もだ」

「行きましょう蒼太くん♪」


 筆箱を持って紅愛と前に出ると先生から紙を渡される。役職名とその横に欄があるので名前を書いていけということだろう。


「私が書きますから蒼太くんは進行してください」

「ありがと。えっとじゃあ次は図書委員か。図書委員一名、やりたい人〜」


 ……と言ってみたところで特に手が上がる訳ではない。まぁ図書委員暇そうなイメージあるしな。蔵書点検とか大変そうだし


「んーとだったらクジか……」


 先生が使用したクジを再利用しようと思ったら1人の男子生徒が手を上げた


「お、俺やる!」

「え?えーと……下平くん?」


 名簿を確認して名前を呼ぶ。


「おう!俺図書委員やる!」

「分かった。他にいない?……紅愛」

「はい」


 名簿を見せて紅愛に名前を書いてもらう。しかし下平くんはそんなに図書委員になりたかったのか。今も嬉々として周りに話している。少し意外だな。


「それじゃあ次は保健委員一人」

「私やる!」

「え!?わ、私も!」

「ずるい!私もやる!」


 次々と手を上げ始める女子集団。えっ?待って、保健委員ってそんなに人気なの?


「えっと……後ろでジャンケンして勝った人でお願いします」


 手を上げた女子が後ろへ集まり睨み合う。保健委員に果たしてどれほどの思い入れがあるのだろうか。俺には分からない。


「めっちゃ女子に人気だけどもしかして紅愛も保健委員になりたかった?……紅愛?」

「……ちっ」

「っ!?」

「あの雌猫共め……浅ましくて意地汚い尻軽ビッチの分際で私の蒼太くんに名前を呼んでもらおうなんて……」

「お、落ち着いて落ち着いて。それじゃあ先に次行こっか。次は……体育委員やりたい人」

「はい!」

「私も!」

「お、俺も!」

「僕も……」


 こうして役員決めは順調?に進んでいった。








「まだ機嫌治らないの?」


 あれからしばらく時間が経ち今は昼休み。俺の膝の上に乗った紅愛は未だムスッとしており、周りの女子を牽制していた。このままでは飯も食えないし強硬手段に出るしかない。


「……」

「ほい」


 紅愛の脇腹を突く。本来ならくすぐるところだが今は周りに机もあるので暴れてぶつかったら大変だ。

 脇腹を突かれた紅愛は案の定体を跳ねさせる。


「ひゃあ!な、何するんですか!///」

「もういいでしょ?俺、怒ってる紅愛より笑ってる紅愛の方が好きだな」

「っ!そ、そうですか///……なら私を笑顔にしてください///く、くすぐり以外ですよ///」


 そう言って紅愛は甘えるように俺の胸に頭を押し当てた。撫でてあげると紅愛は気持ちよさそうな声を漏らし、さらにグリグリと頭を押し当ててくる。


「んぅ〜♡」

「機嫌治った?」

「はいぃ……♡」

「それじゃあご飯食べようか」

「はい♡」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

お久しぶりです。今年は厄年なのか悪いことばかりが起きますね。皆さんも気を付けてお過ごしください。

フォロー、コメント等よろしくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る