第4話同じ委員会の阿志渡

翌日、終業式。

案の定、登校した俺に向けられた女子の視線は冷たいものだった。

女子全員からではないが、阿志渡と関わりのある女子から睨まれていた。

先輩と後輩には伝わっていないようだが、広まるのはすぐだろう。


終業式を終えて、教室に戻って、担任から配布物を配られ、夏休みの過ごし方について、釘をさす担任。

12時過ぎには、放課後になり教室を後にして、美化委員の集会がある空き教室を目指した。

気まずいな、行きたくないんだよな。

だって──。


教室の扉を開けて、入ると定位置に着席している女子が、鋭い目付きで睨みつけてきた。


はぁー、彼女と席が近いんだよな。

和奈見が間の席に座ることになっているが、まだ、来ておらず気まずい。


俺は、椅子に腰かけて床に通学鞄を音を立てないように置いて、頬杖をついた。

机が、コの字形に並んでいる。向かい合う席には、すでに来ていた数人の一年生がこちらを窺っていた。

「あのぉ、阿志渡さん。こうは──」

「ひらっクズに言われなくてもわかってる」

機嫌悪く、低い声で制した彼女。

クズに言い直さなくてもよくない。彼女の迷いを感じた。

根はいい女子なんだけど、阿志渡は。

「「「ひぃっ」」」

離れている一年生にも聞こえたらしく、身体が震えていた。


集会が始まる数分前に和奈見が謝りながら、椅子に腰かけて、スマホをしまう。

15分後に話し合いを終え、中庭や花壇などの校舎まわりの清掃をするために、外に出る美化委員会。

三人以上のグループをつくり、清掃が始まる。






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