第5話よりによって、阿志渡と同じグループに

俺達のグループは、体育館まわりを担当することになり、菓子パンの袋等がちらほら捨ててあった。

意外にごみが見つかるもんだな。

俺、阿志渡、澄江、鎌瀬が同じグループだ。

澄江花純すみえかすみは、一年三組の控えめな女子で、俺と阿志渡から距離をとり怯えている。

もう一人は、鎌瀬陸翔かませりくとで、一年一組の目つきが鋭い男子。

俺は、体育館の正面を見回っていた。

阿志渡が俺の後ろを通りすぎ、ごみ袋にごみを捨てていた。

「阿志渡さん、話がっ」

「っ触らないで。口も聞きたくない」

俺が、彼女の腕に触れた瞬間、勢いよく振り払われ拒絶された。

「聞いてくれるだけでいいからっ。知ってるよ、阿志渡さんが優しい人だって!」

彼女は、立ち止まって振り向き、

「少しだけなら......」

と、低い声で呟く。

「ありがとう。昨日の事で、あれは本当に俺は何もしてないから。阿志渡さんが見た通り、押し倒されてただけだから。阿志渡さんが思ってるようなことは何もしてないから、信じてくれないかな?」

「──なの?」

「えっ、今なんて」

「本当なの、何もしてないって話?」

「してないよ、本当に。信じられないなら──」

「し、信じるよ。ごめんね、平塚......ひどいこと言って。どうしたら許してくれる、平塚?」

「ありがとう、阿志渡さん。友達の誤解を解いてくれるだけで充分だから。それだけでいいから」

彼女は、小さく頷いて戻っていく。

なんとか、彼女の誤解がとけた気がした。

いつもの呼び方に戻り、安堵する。


清掃を終え、集合場所の中庭に急ぐ俺達。

俺達が中庭に着いたときには、二グループが来ておらず、10分後に全員揃い、解散になる。通学鞄をとりに戻るため教室を目指した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る