第39話⁂祖母咲子と達也と陽介!⁂


樹里亜は何故立派な両親が居ながら祖父母と一緒に生活していたのか?


それは、2007年の6月16日の事故でひと月間入院。

昏睡状態の樹里亜を治る見込みの無い状態で病院に置いてはおけません。


もう現役引退している80歳の高名な内科・神経内科の名医、祖父勇が昏睡状態の樹里亜を豪邸で治療していたのです。

その為祖母咲子が2か月間付きっ切りで看病する羽目になったのです。


2007年9月晴れて樹里亜は両親の元に戻りますが、{達也の子供では無い!}との噂に精神的に参っていた達也は「俺の子じゃないだと~?弥生、樹里亜は陽介の子供なのか!許せない!」暴れまくり手の付けられない状態だったのです。


達也の容態があまりに酷いので樹里亜に何か有ってはと里に樹里亜を連れて帰ってしまった弥生。


ある日、あれだけ陽介を散々虐めた達也と義母咲子ですが、弥生が里に帰ってからというもの気掛かりになりお手伝いさんに電話したのです。

すると「とんでもない状況が続いているらしい」

とのお手伝いさんからの情報を耳にした陽介は心配になり居ても立っても居られず実家に帰ったのです。


情報をお手伝いさんが他人に口外することはないのか?

《それは守秘義務があります。口外すれば訴えられます》


弥生が家を出てからというもの度々様子伺いに達也宅に伺っていた陽介。

2007年8月から弥生は樹里亜と里に帰ったり陽介の元に戻ったりの繰り返しです。



2016年異常だった暑さもずいぶん弱まってきた夏の終わり。


今まで見た事の無いガリガリにやせ細った【樹里亜B】が息絶え絶えでベッドに横たわっているではありませんか、一体どういう事?


それにしても昏睡状態から回復したにも拘らずガリガリにやせ細りそれはまるでミーラ-のようです。


義母咲子も異常な状態です。この異常な家では何が行われているのか?


「何かとんでもない事が起こっている!」


「何を言ってるの~?私の宝に変な言い掛かりはよしてくれ!ねえ樹里亜!」


「…………。」


応答など有ろうハズが有りません。


{一体この家ではなにが起こっているのか???}


そこで達也に聞こうと達也の部屋に向かった陽介は、我が目を疑います。

そこには13歳ぐらいの樹里亜が達也と一緒に眠っているではありませんか?

『樹が高校3年生の時に森で見かけた8歳ぐらいの【少女C】樹里亜』

{一体この家では何が行われているんだ?}


余りの衝撃に眠っている達也を無理矢理起こして「オイ!兄貴一体どういう事だよ!詳しく話を聞かせてクレ!」


「うるさいな~!何だよ~?」


「樹里亜が何人もいるじゃないか~?一体どういう事だよ!」


「…………。」


「何だよ?ハッキリ言ってくれ!とんでもない法律に反した事をやっているんじゃないだろうね?そんなとんでもない事をしたら病院の存続の危機だ。分かっているのか?」


「…………。」


「まさかクロ―ン人間!」


「止めてくれ!樹里亜が目を覚ましたらどうなるんだ。人聞きの悪いこというな!」


そこに義母咲子が現れて。


「陽介さんあなたいい加減にしなさいよ!私が何も知らないとでも思っているの?

達也の妻である弥生さんにチョッカイ出して、その挙句に達也があんなに楽しみにしていた子供があなたと弥生さんの子供だなんてあんまりにも達也が可哀想すぎる」


「チョット樹里亜に聞かれては不味い!応接室で話そう!」


達也の一言で応接室に。


「お義母さんそれは違います。僕は確かに弥生さんを愛していました。又今現在も愛しています。確かに僕からも電話はしていましたが、僕は兄貴の双極性障害を手助けするようになってからは弥生さんを避けているのです。医者としては自分の事より患者さん第一、それでも弥生さんから会って欲しいの一点張り!それ以来男女関係は有りません。だから樹里亜は僕の子供では無いと???」


「弥生もとんでもない阿婆擦れ女ね!達也があまりにも可哀想!達也あんな女なんかこっちから捨ててやりなさい」


「俺はもう弥生なんかどうでも良い!あの優秀な樹里亜を離したくないんだ。弥生が俺に愛想をつかして、樹里亜だけおいて慰謝料一切払わずに出て行ってくれたらそれが一番いいんだ!俺の最後の復讐!裸一貫でこの家を追い出してやりたい!俺はお前と弥生の事で気が狂いそうだった。毎日、毎日、一睡も出来ない日が何日も続いた。こんな俺だが樹里亜は優秀だ。この病院は絶対誰にも渡したくない!戸籍上は俺の正真正銘の子供、樹里亜をこの病院の跡継ぎに!それが俺の最大の願い!」


樹里亜をこの病院の跡継ぎにと考えているのに何故強姦まがいな事をしたのか?ってことはやっぱり陽介の子供?


「兄貴、何をメチャクチャな事を言っているんだ!弥生さんを愛しているからこそ、弥生さんにそっくりなクロ―ン人間樹里亜を作り出しているんでしょう?」


「俺は弥生を愛していた。だがお前との逢瀬の連続に我慢の限界を超えて、愛が憎しみに変わったのだ!その代わりにコピ-の若い弥生【樹里亜】を生産し続けて愛しているのだ。あんなに愛していた弥生がお前と淫らな関係を公然と行っていた事が到底許せない!お前ら2人が憎い!」


「本当よ!達也があまりにも可哀想。あなたが家にやって来たのが全ての間違いなのよ!この家で行われている事を口外したら只じゃ済まないから!私だって達也がこんな病気で夢も希望も無い状態。ちゃんとした孫だけが生き甲斐なの!どんな事をしても生れなかったらクロ―ン人間を作るしかないでしょう?私の夢を奪わないで!」


「それは勘違いも甚だしい僕と弥生さんの間を引き裂いたのは兄貴の方じゃないか?それから兄貴では病院の理事長は鼻から無理でしょう。双極性障害の兄貴に働ける病院なんてありません。俺と貴理子と木村君有っての病院だ。ろくに働きもしないで多額の給料払ってやっているのに言い掛かりもいいとこだ」


その時カ————ッ!となった達也が机の引き出しからナイフを取り出し陽介目掛けて!

「コノヤロ————!」



















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