異形の少女*🌺＊✰⋆*

第34話⁂樹と樹里亜の恋！⁂

２０１６年の夏。

あぶら蝉があつさをかきたてるように鳴いている今日この頃

樹はやっと会えた美しい樹里亜と又会える喜びで一杯です。

いそいそとK大学近くの緑と花に囲まれた美しい公園に出掛けたのです。

暫く待っていると、トルコ石のような夏の午前の空の下、軽やかに舞うように近づいてくる樹里亜の姿があります。

青々とした空に溶け出したようなスカイブル－のワンピースに麦わら帽子の何とも涼しげな美しい樹里亜が現れたのです。

お友達の美紀の姿も見えました。

その公園の花の咲き乱れる池のほとりで、2人をキャンパスにおさめた樹は2人を近くのお洒落なレストランに誘います。

そのレストランで今どきの女子大生の動向を聞き出した樹は僅かばかりのモデル代を支払いランチを御馳走したのです。

樹里亜と美紀はこのハンサムな大手デザイン事務所に勤務する樹に開口一番ハ－トを鷲掴みにされていたのです。

そしてすっかり打ち解け合った3人は携帯番号の交換をしたのです。

「チョット樹さんてかなりイケてるわね～！」

「私もそう思う！」

樹里亜と美紀は樹の話で持ち切りです。

一方の樹は益々樹里亜の事が忘れられなくなっているのです。

そこにある日、美紀ちゃんから電話が掛かってきました。

それは耳を疑うような樹里亜の家族の話です。

美紀に呼び出された樹は、電話ではラチが明かないので取るものも取り敢えず待ち合わせの喫茶店に出掛けたのです。

話を聞いて見ると｛あの家は呪われていて、理事長陽介が産婦人科の院長達也を殺害している。更には人里離れた敷地内で子供を焼き殺している｝と言う内容なのです。

樹は美紀のその言葉に憤りを感じ咄嗟に「友達の事を事実も確認しないでよくもそんな酷い事を会ってまだ浅い俺に話が出来るね、それじゃ樹里亜ちゃんがあまりにも気の毒、もう電話して来ないで！サヨウナラ！」

そして美紀を残したまま喫茶店を後にしたのです。

美紀は思い焦がれる樹にとんでもないしっぺ返しを食らってショックの余りその場に泣き尽くしています。

それにしても美紀も何故この様な突拍子もない事を口走るのでしょうか？

産婦人科院長達也は数日前にも目撃されているのです。

確かにいろんな問題を抱えている一家ではあるのですが？

すっかり樹に対する恋心に火が付いた美紀は到底樹里亜には勝てないと思い出鱈目な事を並べ立てて2人を引き裂こうとしているのか？

又樹里亜の悪い事をありったけ、有る事無い事を吹聴して樹の気持ちが樹里亜に向かないように懸命に考えた結果このような事を口走っているのか？

それか？これがもし本当の事なら大変な事になる。確かにフランスで見た樹里亜はあんなに元気だったのに、数週間後には息絶え絶えの姿に変わり果てていた！絶対に何かあるに決まっている！

それにしてもこの美紀という娘は一体どんな神経をしているのか？大切な友達の絶対知られたくない重要な秘密を、こうもいとも簡単に人に話す等とんでもない娘だ！

もし口から出まかせを言っているのなら絶対許せない！

樹にはもうとっくの昔から心の奥深くに樹里亜が住んでいます。

こんな悲惨な話を聞けば聞くほど益々恋心に火が付き｛そんなバカな事が有る筈がない！樹里亜に真実を聞こう。そして今度こそ樹里亜を絶対に守り通そうと心に誓うのです｝

数日後に樹は樹里亜と会ったのです。

すると？？？