第9話 問診(お話)をしているだけでも症状緩和

リサさんの風邪を治そうと順序立てて処置を進めていくと、ふいに真のスキルレベルが上がった。



「(あれ?まだ、処置の途中なのに脳内に声がまた聞こえたぞ?)」



あとは、対症療法という治療が残っていた。わかりやすくいうと症状に対して行われる治療方法のこと。時間がある時にはしっかと問診をして咳や熱にもそれぞれ種類があるため、どんな咳ならこのツボが良いなど患者さんの状況によっても使うツボや組み合わせが変わってしまう。



「(今回は、一番オーソドックスなツボを使って様子をみてみようかな)」



そんなことを考えながら真はリサさんに確認を取りながら後方へ回ると、リサさんの首の付け根(頭の方ではなく肩に近い方)の辺りを触って体温の確認をさせてもらった。やっぱりというべきなのだろう、付け根あたりにある背骨の中央に一番出っ張っている骨の付近が冷たい。この出っ張りの左右にそれぞれ風門ふうもんと呼ばれるツボがある。東洋医学では、ここから外気が身体の中に入り、免疫力が落ちてくると冷たくなると考えられています。



「やっぱり、この首の後ろが冷たいですね~。まずは、軽擦けいさつ法と呼ばれる擦って温めるのが一番良いかもしれませんね。」


「首の後ろを擦る程度温めるくらいで効くの?」


「もちろん。患者さんそれぞれの状況により変わりますが、今のリサさんの状態をみる限りだと少しは効果あると思いますよ。」


「わかりました。お願いします。」



患者さんには、説明をして理解を深めてもらうことで自然治癒力が上がる効果もあります。患者さんが知らないことをなるべくわかりやすく説明することで安心も出来、施術の効果もお話しながらさらに高めることも出来ます。


しかし、真はまだ気づいていないが先ほど上がった問診のレベルが2に上がったことにより、問診(お話)をしているだけでも症状の緩和が出来るようになっていた。

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RPGの世界で『休むと状態異常が治る』のは、異世界マッサージを受けていたからだった mmm(エムスリ) @mmm150

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