第6話 感染症 風邪:咳+、熱++

『スキルを獲得しました』という音声が頭の中に流れるのもありえないし、目の前の光景でここが今までの世界とは違う場所にいることを真はようやく確信した。



「(ここはもしかして、日本ではなく異世界転生というやつだったのか?)」



たまたまなのかはわからないが、この男の子の耳はそこまで尖っていない。エルフ特有の尖った耳といわゆる一般的な耳の間くらいの少し耳が長いかなくらいだった。どこかもわからない場所に急に居たこともあり、そこまで気を回していられなかった。



「早くこの薬草を道具屋のリサおばさんの所に持って行って、みんなの薬を作ってもらわないと…」


「早く行こう。道具屋はどれかな?」


「あそこが道具屋だよ。リサおばさ~ん。薬草持ってきたよ~。」



道具屋へと走りながら大きな声で叫んでいると、道具屋の中から銀色のサラサラロング髪のおばちゃんではなくどう見ても20代前後くらいのおねぇさんが出て来た。



「リト~。また森に行ったの?危ないから私に任せなさいっていつも言っているでしょ!」


「でも、リサおばさんは薬をどんどん作ったりしないといけないでしょ!それより、薬草持ってきたから早く薬にしてよ。」


「でも、この辺の薬草だと症状の緩和にはなっても根本的な回復にはならないんだよ。ごほごほ…」


「(リサさんの今の咳は、あまり良くないなぁ~。感染症の可能性があるかもしれない。)」



咳をしているリサさんの状態をよく観察しようとした時にまた、透けている画面が出て来た。



【感染症 風邪:咳+、熱++】

【治しますか?】

・はい

・いいえ

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