第5話 俺は今まで何を見ていたのだろうか。

男の子の足もだんだんと痛みがないことで早歩きとなっていたので、わりとすぐに村に到着した。真が村に着いて一番初めに感じたこと。



「(私は今まで、何を見ていたのだろうか。)これは凄い…」


「スゴイだろう!人族の街とは違って自然を大切にしている村なんだ。あっ!村に人族が来るのは初かもしれないな。」



真が想像していたのは、目覚めた場所が木々も生い茂っていてその近くの村なら田園風景が広がっているのかと思っていた。しかし、そこにあったのは巨大な木の幹で上の枝からいくつもの蔦が伸びてきている。巨大な木の迫力に感動していると男の子が蔦を登り始めた。



「そうそう。村に入るにはこの蔦を登らないといけないんだ。しかも、蔦が切れたり登れない人は自然から拒絶されていると考えられている。だから、村に入る資格がないとみなされちゃうんだ。頑張って登ってきてね。」


「(それは、大変だ。もう少し色々な情報を集めないといけないしこのままじゃ生きてもいけない。登るしかないな…)おっ!この蔦所々で結び目がついているおかげで上りやすい。」


「そうでしょ?これを登ってしまえば後は、木の枝を歩いて行くだけで村を見て回れるからもう少し頑張ってね。」



男の子の登る速度が異常に早い。置いて行かれない様に必死について行くとなんとか登りきった。先ほどから色々と疑問に思う内容がいくつもあったが、村人を見て解決した。そして、男の子の耳を見て再度村についた時と同じことを考えた。



「(私は今まで、何を見ていたのだろうか。)」



そう。男の子の発言の中で『人族』という単語があったが村人の耳を見て確信した。これは、よくよくファンタジーなどにも出てくるエルフという種族の特徴と似ていた。

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