ディオスとの決闘!
帰還した俺達は早速国王の下へ行く。
「よ、よくぶ、無事でも、戻って来た。ち、調査ほ、報告を聞かせて貰うとしよう」
明らかに動揺している国王。
完全に死んだと思っていたようだが、あの程度で死ぬはずないだろうが。
「深層調査の結果、Sランクモンスターの魔獣ダークドッグが一匹いました。危険と判断した為討伐いたしました」
俺の言葉を聞いてアーニャと伝令役のサレン以外の全員が呆然としていた。
ディオスが大声で俺を怒鳴る。
「大嘘つきが。お前ら如きがSランクモンスターを狩れる筈ないだろうが!」
「死体は見せただろ。それ以外に証拠を出せと言われてもなあ」
「ほら見ろ。偶然死んでたんだ。それを自分の手柄みたいにしやがって。この卑怯者が」
ディオスが俺を大嘘つきだけでなく、卑怯者扱いする。
それを聞いたアーニャが苛立っていた。
そんな時、サレンが声を大にして意見を言う。
「私が証人です。この目でお二方が討伐する姿をはっきりと焼き付けました。疑う余地は無いかと」
「黙れ黙れ! あり得ない。ライル如きが」
はあ面倒くさい。
相変わらず自尊心が高く人を見下すのは得意だな。
「おい俺と勝負しろライル」
「勝負?」
「そうだ。一対一の決闘で俺と戦え。俺が勝ったら冒険者の資格は剥奪だ。つまり一生その女と共に奴隷だ」
「何故俺がお前と決闘を?」
「これは国王の命令だ。そうですよね国王」
ディオスに振られた言葉を国王は瞬時に理解し、大きく頷く。
こいつらは何で俺をこんなに憎んでるんだ?
「お前が負けたらどうなるんだ?」
俺の言葉にアーニャとサレン以外のディオス達全員が暫く呆然として一斉に笑い出した。
「はははっ。そんな事はあり得ない。だが負けたらお前たちの望みを一個だけ叶えてやるよ。それでいいですよね国王様」
国王は大きく頷いた。
「じゃあ俺が勝ったらリーファをアクアラプラスに加入させることにする。異論はないよな」
「ふん。万が一、いや億が一にもないがな。いいだろう」
こうして俺はディオスと決闘場で決闘する事となった。
◇
「ふん、奴隷になる覚悟は出来たか大嘘つき野郎!」
ディオスは決闘場で俺に威勢よく声を大にして言い放つ。
俺は冷静にその言葉を対処した。
「悪いが負ける気はない。リーファの加入もそうだがアーニャを奴隷になんてさせたくないからな」
「あの剣聖は俺が奴隷として扱ってやるよ。俺が抱いてやる、俺にこそ相応しい」
「御託はいいからさっさと始めるぞ」
「貴様誰に口を聞いて!」
俺とディオスは少し距離を取り対峙する。
決闘場にはいつの間にか多くの観客が見物人としてやって来ていた。
「どうした観客にでもビビったか? 折角俺が呼んでやったというのに」
大勢の前で俺を倒して恥をかかせ、自分は英雄気取り。
こいつの考えそうな事だ。
「ではこれよりディオスVSライルの決闘を行う。ルールはどちらか一方が殺されるか、降参した時のみ決闘を終了する。それでよいな」
「はい」
「はい」
国王の言葉に観客はざわめきだす。
そして口々にこう言う。
「ディオスの圧勝だろうな。ライルとかいう奴可哀そうだな」
「あのホーリーナイトのディオスだぜ。アクアラプラスとか言う無名に負ける筈ねえよ」
「俺はディオスに1万ゴールド賭けるぜ」
観客の全員と言っていい殆どがディオスの勝利を確信していた。
国民の女性陣も「ディオス様――」などと大はしゃぎしている。
完全に俺は下に見られ馬鹿にされていた。
「何か言い残すことはあるか大嘘つき野郎」
「ラプラスの悪魔」
「何!?」
俺が剣を振るったら――
俺が拳を突き出したら――
俺が魔法を使用したら――
「あれ? どんな未来でも勝利が確定してる」
「何言ってやがる!? とうとう現実逃避か。はははっ、もうおせえよ」
国王の「決闘開始」という言葉と同時に俺とディオスは戦い始める。
俺の勝利は100%決定していた。
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