ガラパルド国王から賞賛されました!
「ふぁあああ」
俺はガラパルドの宿屋のベッドで目を覚ます。
昨日の夜眠くてそのまま熟睡したんだったな。
「おはようライル。起きるの遅かったわね」
「おはようございます。昨日はお陰で助かりました」
何故か同じベッドで就寝した。
理由は宿屋の部屋が一室しか空きが無く、仕方なく三人で寝た。
よく覚えてないが柔らかい感触といい匂いがしたな。
「サレンはこれから伝令書届けるんだろ。俺達はブラブラしてるよ」
「帰りも護衛してくれるんですか!?」
「そりゃ当たり前だろ」
俺は何を言っているんだと言った表情で首を傾げた。
サレンは凄く俺の言葉と態度に驚いていた。
「では同行願えますか? ガラパルド国王に紹介したいですし」
「紹介!? いや別にいい」
「私も別にいいわ。そんな大層な事してないしね」
「
俺達は半ば強引に連れられてガラパルド国王の下までやって来た。
ガラパルド国王の前で頭を垂れて跪く。
「これがアイギス国王より授かった伝令書です。護衛はアクアラプラスのライルさんとアーニャさんがしてくれました」
「これはこれは御苦労であった。伝令役のサレン、そして冒険者のライル、アーニャよ。褒美を授けよう」
俺達はガラパルド国王から多額のお金を頂いた。
これで当面生活に困ることは無い。前回のクエストでのお金も残ってるしな。
ガラパルド国王は伝令書の内容を読んで表情を険しくした。
どうやら不都合な事が書かれていたらしい。
「サレンよ。帰ってアイギス国王にこう一言伝えるのだ。領土を売る気は無いと」
「分かりました。伝えておきます」
俺達は国王の玉座の前から去った。
その後アクアラプラスは隣国ガラパルドで少しだけ有名になった。
◇
「ライルの野郎とうとう死んだかな。これでリーファも諦めるだろう」
「そうねあんな無能くたばって当然よ」
「そうだそうだ。あんな大嘘つきに未来はない」
「当然です。あれに生きる価値などないですよ」
ディオス達は豪快に笑いながら修行もせずだらだらと喋っていた。
完全にライルとアーニャが死んだと思っているようだ。
とんだ勘違いなのだが。
「それにしても酷いわね。あんな危険な森を調査してこいなんて」
「国王は俺以上の悪魔だな。ははっ」
「あの森の深層ってSランクモンスターがいるって噂じゃない。私達でもないと勝てる相手じゃないわよね。本当に国王は悪魔だわ」
「全くだ。俺達でもない限り瞬殺されるのが落ちだろうぜ」
今日も【ホーリーナイト】は自尊心高く、自身たちを過大評価している。
そして同時にライルの事を過小評価しているのだ。
◇
「アイギスよ。ちゃんとあのゴミ共は殺せたんだろうな」
「ああ心配するなアレイグル。ちゃんと闇の森の深層で死体となっている筈だ」
「はははっ、それならよい。儂のリーファは目玉商品なんだ。汚されてはならぬからな」
「分かっている。今後もお金は支払う。リーファを借りておくぞ」
「お金さえ払っていただければ文句はない」
国王とアレイグルは豪華な一室でワインを飲みながら談笑する。
ライル達が死んだと思い込み浮かれて豪勢な食事と高価なお酒を用意して。
「何がアクアラプラスだ。ただの雑魚共が」
「全くだ調子に乗るとどうなるかあの世で思い知っただろうな。ふはははっ」
◇
リーファは一人自室の机で魔導書を読んでいた。
そして窓から太陽を見る。
「そろそろ帰ってきますね。アレイグルさん達は驚くことでしょうね」
リーファはライルとアーニャが闇の森の深層調査から帰ってくることを確信していた。
そしてそれはすぐに証明された。
「国が騒がしいですね。あれは……」
リーファは窓から帰還するライルとアーニャの姿を発見した。
急いで出迎えする。
「おかえりなさいライルさん、アーニャさん」
「ただいまリーファ」
「たっだいまリーファ」
国民たちが一斉に死んだと思われたライルとアーニャが帰還して騒ぎ出す。
またしても【ホーリーナイト】達の思惑は外れた。
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