様々なモンスターを狩りました!

 俺達はダンジョン調査の為、王国アイギスから少し離れた街エイレンまで来ていた。



 「ライルってホーリーナイトの一員だったのね。驚いたわ」

 「元だけどな」

 「何で辞めたの?」

 「追放されたんだ。未来予知を偶然だって言って信じてくれなくて」

 「うわあホーリーナイト見る目なさすぎ。ラプラスの悪魔は最強なのに」

 「そう言ってくれると嬉しいよ。アーニャの為に全力でサポートするし戦うから」

 「ありがとうねライル」



 アーニャは俺の両手を自身の細く雪のように美しく白い手で握って来る。



 「私の腕も見せてあげるわ」

 「頼もしいな。剣聖だもんな」

 「まあユニーク職には負けるけどね」

 「剣聖は十分凄いぞ」

 「そうなんだけど……ライルは特別」



 アーニャは俺を大きく評価する。

 俺達は話しながら目的地まで到達する。



 「ここがエイレンか」

 「小さい町だけど丸ごとダンジョン化してるのよね。不思議な感覚」

 「最奥地まで行こうぜ」

 「最奥地……何日かかるかしら。攻略のためにはまずマッピングも必要だし……」

 「いや、これがあれば最短ルートでいける」



 そう言って俺はラプラスの悪魔を発動させた



 「ラプラスの悪魔」



 ここを右に曲がれば――

 ここを左に曲がれば――



 「左の方がモンスターは少ない」

 「流石ライル。これならダンジョン調査は楽勝ね」

 「自分でも便利な能力だと思うよ」



 俺達は左へと曲がった。



 「スライムだ」



 俺はラプラスの悪魔の声に従ってアーニャに指示する。

 


 ここでアーニャが剣を振り翳すと――

 ここでアーニャが攻撃を躱すと――



 「攻撃回避だ。他にもモンスターが来る。バッファローだ」

 「了解したわ」



 アーニャが俺の指示で攻撃を回避する。

 案の定俺の未来予知ラプラスの悪魔で見た通りの未来となった。

 モンスターバッファロー……。ランクB向けだが……。

 ウシ型のモンスターバッファローが猛突進してきた。

 他のダンジョン攻略に来ていた冒険者集団が俺の言動に驚く。



 「何であいつ分かるんだ」

 「まあ偶然だろ」

 「予想的中って奴」


 

 ここでアーニャが黙っていると――

 ここでアーニャが剣を振り翳すと――



 「剣を振り翳せ。勝てる未来が見えた」

 「じゃあ私の攻撃見せてあげる」

 「頼んだぞアーニャ」

 


 アーニャが腰に携えている高価そうな剣を抜く。

 そして俺が見た未来通りの美しく魅了される剣戟が披露される。



 「ライトニングウィクトリア」



 雷のような速さで剣が宙を舞う。

 バチバチと光り輝いている。

 俺を含めた周囲の冒険者は魅了された。



 「おいあれって剣聖のアーニャじゃないか?」

 「一緒に居るのホーリーナイトのライルだ」

 「ダンジョン調査に来てたのか。これはちょっと先越されるぞ」



 周囲がアーニャの剣戟を見てざわつき始める。

 流石【剣聖】だな。


 

 「楽勝だな。凄い剣技だった」

 「これくらい楽勝よ。でも、まあライルのサポートのお陰で凄い楽に戦えるわ」



 俺はアーニャに抱きしめられる。

 アーニャの体温が俺の体温を上げる。

 大きな形のいい胸が俺の体に当たる。

 


 「改めてライルのラプラスの悪魔は凄いわ」

 「腐ってもユニークスキルなのかな」

 「攻撃のタイミング、回避のタイミング、全て先読みできるのはかなりのアドバンテージよ」

 「何か照れるな」

 「素直な感情よ。私、基本他人を褒めないし」



 アーニャは可愛げな表情で笑い見つめてくる。



 「おいあんた達凄いな。特にあんた預言者かよ」

 「あーいや、まあ」

 「ピンポイントで正確な指示出してるし、何より未来を見たかのような指示の出し方。流石ホーリーナイトのライルだな」

 「今はアクアラプラスのライルだ」



 俺は真剣な表情でそう言い切った。



 「そ、そうか。そっちの姉ちゃんも剣聖のアーニャだもんな」



 何やら過度な期待をされている。

 まあ俺とアーニャなら余裕だろうが。


 その後も立ちはだかるモンスターを狩りまくった。



 「ラプラスの悪魔」



 ここで立ち止まったら――

 ここで逃げたら――

 ここで壁を壊したら――



 「壁を壊したらモンスターが二匹油断している。背後から攻撃だ」

 「任せなさい」



 壁を壊すと同時にリザードマン二匹は俺達の後ろを向いて油断している。

 リザードマンもBランクモンスター……だけどアーニャなら。

 思った通り一瞬でアーニャの剣戟で討伐される。



 「アドバイスありがとう。お陰で余裕だったわ」

 「Bランクモンスターを一瞬で倒すなんて流石剣聖」

 「この調子でダンジョン調査進めましょう」

 「最深部まで行くぞ」



 他のダンジョン攻略に来ていたソロ冒険者も俺とアーニャを見て驚いている。


 

 「一体この二人何で組んでるんだ!?」

 「凄すぎる」

 「預言者とか聞いたことないぞ」



 俺達はいい意味で目立ってしまった。

 この調子で最奥地を目指そう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る