電車
ガタガタと
悲しい音を響かせて
初夏の暑い日差しのもと
緩んだ線路を電車が行く
片田舎の寂れた空気を乗せて
昼間の車両には乗客は無くて
路肩に茂る ヨモギの香りを吹き飛ばし
錆びた線路を電車が行く
誰も居ない列車を運転する
あの男は果たして本当に人間かしら?
妖精の類いでも驚かない
誰も乗らない客車は
きっと詩を運んでいるのだ
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