マリーゴールドの夢

信号機の脇

アスファルトを破ってスックと立つ

彼女はマリーゴールド

白い花びらが揺らめいて

そうだ きっと何処かの花壇から

種が飛んできたのだ


それなら世界はもうじき終わる

人間が居ない世界

あちこちのアスファルトを食い破って

緑が繁茂する

きっとそれはマリーゴールドの夢なのだ

世界の終わり

美しい荒廃


けれども美は目撃されて初めて意味をなす

だから歌うたいよ 弦楽器リュートを抱いて待つが良い

文明の終焉から新たな時へ

お前だけが終わりの美を目撃し

お前こそが始まりの歌を歌うのだ


風よ運べ

マリーゴールドの夢を

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る