第23話  いけない遊びから


真奈美ちゃんの顔が僕の顔に近づいてきた。


「覚えてるかな?賢一くん」と言いながらドンドン顔が近づいてきた。

僕は、目を瞑り恐怖を感じた

あんなに好きだった真奈美ちゃんなのになぜか恐怖を感じてしまった。

きっと、突然の再会と保育園時代と何も変わっていない僕を見せたく無かったのかもしれない。


真奈美ちゃんの吐息を感じた。

その時、真奈美ちゃんからチューをされた。

懐かしい感情が戻ってきた。

「また、チューしちゃったね」と真奈美ちゃんが笑いながら言ってきた。

「ビックリした?それとも思い出した?」

僕は、うまく言葉が出てこない


「ねぇ、お腹すいたよー何か食べようよー」可愛らしい声で僕に甘えてくる

確かに、お腹すいた

そう言えばお金をもらっていた事を忘れていた。

「お金置いといてくれたからコンビニに何か買いに行こぉ」

「コンビニって近い?」

「うーん、遠くは無いよ」

「歩きたくないなー」

「お腹すき過ぎちゃった?ごめん、ご飯が無いことの方が多いから」

「謝らなくて良いよ、そうやって何時もごめんって言うの駄目だと思う」

「ごめん」

「あっ!またゴメン言った!」

僕の知ってる真奈美ちゃんだ

自然と笑顔になり笑いあった。

なんか、久しぶりに笑った感じがした。


僕たちはコンビニまで歩き食べたいのを選び家に戻った。

お互い食べ終えたのが夜の20時過ぎ

そろそろ真奈美ちゃんのお母さんが迎えに来ると思ったが21時過ぎても来ない

「ねぇ、お母さん何時に来るの?」

「うーん、たぶん来ないよ」

「どうしたの喧嘩しちゃったの?」

「喧嘩なんかしないよ」

「喧嘩する時間もないし」

「離婚したんだってお母さんとお父さん」

「そうなんだ、お母さんと二人?」

「うん、だから何時も一人になっちゃた」

「賢一君と一緒だね」

「そうだね」

「でも、同じクラスに賢一君いたからホッとしたよ」

泣きそうな真奈美ちゃんの顔を見て僕は

「そうだね、同じクラスだし夜、怖かったら家にくれば良いよ」

その後、僕たちは保育園時代の思い出を思い返してお喋りをした。


真奈美ちゃんが大きなあくびをした

時計を見ると22時を過ぎていた記憶がある

「そろそろ眠いよね、お喋りに夢中になってた、ごめんね」

「真奈美ちゃん僕のお布団で寝て良いよ」

「僕、まだ眠くないから」

「うん、そうしようかな」

僕は、真奈美ちゃんの手を握り布団に向かった

「ねぇ、一緒に寝ようよ保育園の時みたいに」真奈美ちゃんが僕に言ってきた

「一緒に寝るのはダメだよって保育園の時に言われたから」

「じゃー私が眠るまで手を繋いでいてくれる?」

「うん、良いよ」眠そうだったし直ぐ寝ると思ったから何も考えずに言ってしまった言葉だ。


暫くして僕は真奈美ちゃんの手をほどいた

その時、真奈美ちゃんが僕の手を引っ張ってきた

「寂しいから、一緒に寝て欲しいの」

すこし、震えた声で言ってきたのを覚えている

たぶん、泣いていたと思う


鼻をすする音がした時に確信をし真奈美ちゃんの手を再度、握り返した。

真奈美ちゃんが眠るまで一緒に布団に入ろうと決めた。

布団に入ったらいつの間にか眠っていた

どれくらい寝ていたのかは分からないけど

まだ、外は暗かったからそこまで時間は経っていないと思う

横を見ると真奈美ちゃんが寝ている

ゆっくり布団から出ようと思った瞬間

真奈美ちゃんが僕の腕を強く握ってきた

「まだ、寝てないよ」

「寝るまで一緒にいるんでしょ」と真奈美ちゃんが言いながら僕の両肩を強く掴み押し倒してきた。

態勢が悪かった僕は意図も簡単に倒され夕暮れの事を思い出したが恐怖は感じなかったどちらかと言うと一回り小さくなった女の子に見えた


そのまま、僕たちは

チューをした。

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