第24話  間接キス


僕たちは、普通の小学2年生ではなかった。


真奈美ちゃんは物心を付いた時に両親の離婚。

僕は、物心が付く前に父がいなくなった。


そして、保育園のいけない遊びから危ない遊びになった。


その日を境に真奈美ちゃんは毎週、金土は僕の家に泊まりに来る

なぜ、そうなったのかと言うと

真奈美ちゃんのお母さんと僕の母が保育園でお昼寝時間に一緒の布団で寝てた事

を先生から聞かされていたらしくそこから連絡を取るようになり

真奈美ちゃんのお母さんが離婚する事で僕の母に相談をし、仕事も僕の母が紹介をして一緒に働くことになった様だ

真奈美ちゃんのお母さんは真奈美ちゃんと出来る限り一緒に居たいと言う気持ちがあって週末だけ泊りがけで仕事をし平日は近所でパートをするという話で


僕たちは金土を一緒に過ごしていた。

僕も、たまにあゆみと亜美と遊ぶくらいで基本は一人で居る事が多いので

週末は何気に嬉しかった。


夏が近づき真奈美ちゃんの洋服も涼しげになっていった。

一緒に寝るとき真奈美ちゃんの肌が直接、僕に触れてくる慣れてきたとはいえ

やっぱりドキドキして居た事を覚えている


いつもの様に金曜日の夕方に真奈美ちゃんが家に来た。

「賢一君?」

「どうしたの?」

「暑いから冷たいの食べたいな」

「そう言えばアイスあったから食べて良いよ」

「賢一君は食べないの?」

「ひとつしか無かったから食べて良いよ」

「棒アイス?カップアイス?」

「うーーん、パピコだよ知ってる?」

「パピコ!知ってるよ好きだよ」

「昨日、一本食べたからあげるよ」

「じゃー、半分こしよ!」

「私が先に食べるね」

真奈美ちゃんは冷凍庫をあけパピコを手に取り口にした

「わー冷たい!」

「おいしい!」

なんか、真奈美ちゃん無理をしている様に思った。

僕が知っている真奈美ちゃんはこんなに元気な女の子では無いと記憶している

ただ、

正義感が強く虐められていた僕の手を引っ張っていつも助けてくれた

それがきっかけで真奈美ちゃんも孤独を感じていたと思う

「はい!賢一君!半分!」

「全部、食べて良いよ」

「私が嫌だから」

「うん」と言い真奈美ちゃんから半分をもらって食べた

「間接キスだね」真奈美ちゃんが変な笑い方をしながら言い出した。

顔が赤くなっていくのが分かるくらい急に熱くなった。

「いつも、してるのに何で赤くなるの?」

「赤くなってないよ!」僕は焦ってしまい口調が強くなってしまった。

「もう、お子ちゃまだな」

「賢一君は」と真奈美ちゃんが言うと同時に手に握り締めていたパピコを奪い取った。

「気にしすぎだよ」真奈美ちゃんは、躊躇無くパピコに口をつけた。

「ね!気にしなければ大体の事は出来るよ」

どこと無く悲しそうに見えた。

きっと沢山、苦しい事があって

でも、誰にも言えなくて

元気なふりをしている様にみえた。




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