ドライフラワー を聴いて②

『奏!?』

部屋のドアから母の声がする。


ガチャ。


私は部屋のドアを少しだけ開けた。

「何ー、お母さん?」


「あなた宛にお客さんよ』


「どんな人?」


「あんたの彼。

一度あんたが連れてきたから私ちゃんと覚えてるんだから。

ねえ、最近彼とはどうなの?

そろそろ孫の顔が見れるかしら」


「やめてよお母さん!

元彼よ」


「ごめんなさい……」


「いいよ。

ところでお母さんにお願いがあるんだけど……」


「何よ改まって?」


「"会いたくないから、ごめんなさい "

って、そう伝えてくれない?」


「え!?

あ、ええ。わかったわ」



奏は母に一言そう言い残すと、

土砂降りの夜道の中、一階の中庭裏口に回り家を出た。

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