第三幕!みんな私のファンになるだろうな!!

「邪神エネルギー…とな…!!」


 アレン先生の語尾に怒りがたまっていくのが見える。もう我慢ならないアレン先生は、白猫の姿からみるみる姿を変える、黒髪で長髪そして、白と黒のローブをも纏った美女へと姿を変える。


「ミス・アレン!どうした人間になって?拍手でもしてくれるのか?」

「いや、拍手よりもすごいものだぞ、アホ間抜け」


 アレン先生は属性複合魔法であり、最強の魔法の一つ、光線の魔法をピラミッドの機械に向けて放とうとする。


「バカモーン!!ちょっと待て!!何をする気だ!破壊する気か?!」

「当たり前じゃ!あんなもん!ただでさえ最近の地震は封印が弱まっている兆候かも知れんと報告があったのを忘れたか!あんな装置つけて目覚めたらどうする!海の!民の!邪神が!!」

「大丈夫だ!地震原因は私だ安心しろ!」


 思わず「は?」と二人は言ってしまった。だってそうだ突然そんなことを言われたら誰だってそんな反応を示す。


「待て!じゃあなんじゃ、なぜ!地震が起こったのか言ってみろ!」


 アレン先生が状況を整理するために一旦場を取り仕切った。するとサンチョ博士は少々目を泳がせながら言った。


「そのな?ちょいと邪神エネルギーを、抽出するために封印を、第1段階、解いてしまった!いやぁでも良質なエネルギーが取れたんだぞ!」

「決まりじゃ、ドンキホーテ破壊するぞ!」


 サンチョ博士はそれを聴くとプライドをかなぐり捨てアレン先生なら頼み込む。


「待ってええ!今破壊したら強力なエネルギー故に暴走!とんでもない爆発を起こすぞ!そうなればピラミッドを破壊!ガチで邪神を呼び起こすかもしれん!」


 アレン先生は歯ぎしりをしながら言う。


「じゃあどうすればいいんじゃ!決めた!!お主を殺してから考えよう!その方が速い!こんな世界を危機に陥れるような!!発明ばかり作りおって!」


 激昂するアレン先生、ドンキホーテはそろそろあいだに立つべきかと両者を止めるべく二人の間に立ち、殴り合いにならないよう、両者の体を引き剥がす。

 ドンキホーテの腕で制止されながらもサンチョ博士は先生に向かって表現に表すのも嫌なハンドサインを向けながらこう言った。


「おっと忘れちゃいないかな!?私はまだ第1段階を外しただけだもんね!!!まだ何段階も!封印は残ってる!!」


 するとその言葉に呼応するように地震が起こる。そしてピラミッドの周りに突如、複数の魔方陣が現れそのうちの一つが…それはそれは、まるで美しい花火が夜空に咲き誇り、夜空に一瞬の光を灯すように――


割れて消えた。


「明らかに封印が弱まったせいで邪神が復活しそうに見えるがの?」


 アレン先生の鋭い指摘にサンチョ博士は激昂し、または逆ギレし、顔を真っ赤にしてこう言った。


「いいだろう!ここで殺されるぐらいなら!私とてアレン!貴様を殺す!!そして邪神を、倒せる発明品を発明する!」


 アレン先生は鼻で笑う。


「ふん!どうせ大陸ごと消滅させる火薬だとか、何千里にも及ぶ範囲で動物を虐殺する空気だとか、そんな!残虐無比で救い難い発明品じゃ!ドンキホーテここでこいつを殺すぞ!」


「じゃあ俺にもっといい考えがあるんだが」とドンキホーテが切り出した。


「何!あるのか、この脳みそ筋肉野郎!」

「お主考えてものを言っているんじゃろうな!この騎士道物語狂い!」


「ああ!」ドンキホーテは大きく頷いた。


「二人が協力して、装置を安全に外し、封印を施し直す、二人ならそれぞれの知識でいけるだろ?」


「無理」と二人は口を揃えて言う。


「やれ…!!」


「はい…」二人は口を揃えて言う。ドンキホーテの目は本気だった、そうだこいつも世界を救うためなら本気になれる正義漢なのだった。キレた騎士は怖い。



 二人は表面上、まるで顔面に唾を吐きかけるような謝罪を述べたあと、対策に取りかかることにした。


「で?どうやってピラミッドに、行くんじゃ?クソ偉大なるサンチョ博士、あれは海の民の支配地域じゃ、それも神聖なる場所、警備どころか一般民衆までもいる、ていうかどうやってあの装置取り付けたんじゃ?偉大なるカス博士」


 はぁ、どこかの騎士のため息が空気の壁に吸い込まれた。


「それなら心配いらない!ウンコ先生、最初は神聖なるピラミッドを汚す逆賊扱いだったが、ワシがあの装置で一段階、結界を壊してから、逆賊扱いから一転、英雄しされているのだ!どうだクソ先生!」

「ほう…やるではないか、カス」

「ハイ!はいはいはーい!!今のどう思いますか!カス発言!審判のドンキホーテさん!!!私は明らかに今のイエローカードだと思います!」


「そのカードの意味はしらねぇが」とドンキホーテは付け足しこう言った。


「どっちもダメだ、ほら!仲直りの握手!アレン先生も人間だからできるだろう今は!」


 二人は嫌々握手した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る