幕間

羨望

 それは時間にして、十秒にも満たない出来事だった。


 華奢で、ふらふらとした足取りの女の人が、身長の十倍以上もある怪物を、自分の拳だけで倒してしまった。


 あまりにも早すぎて、何が起こっているのか分からなかった。


 だけど――それほどにまで強いのだ、ということだけはどうしようもなく分かった。


 この人は、凄まじいほどに強い

 どうしようもないほどに強い。


「すごい……」


 ぼくも、この人のように強くなりたい。

 そんな思いが、胸の奥でふつふつと燃え上がっていた。

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