第8話 この国では何をするにも保証人が必要らしい

 今日は引っ越しであった。

 といっても、引っ越し荷物の搬入や家具の設置はすべて引っ越し業者がやってくれる。 自分たちでやらなければならないのは、運び込まれた段ボールから荷物を取り出していくこと。そして、あらかじめ購入しておいたカーテンをつけること。


 しかしながら、カーテンを取り付けて早々に、健司と美月は新居を出て車に乗り込んだ。

 区役所に行くのだ。



 転入届をまずは出す。印鑑証明も忘れずに。

 そして、ついでと言っては何だけれども。


 婚姻届けの用紙をもらった。



 世の中では、雑誌の付録とかについてくるという話は聞いた。だけれども、やはり正式な書類をもらうのがいいだろう。


 新居について、お茶を飲んで一息つく。


 そして、区役所でもらった婚姻届けを眺めてみる。

 氏名や住所は問題ない。

 

 本籍地・・・あ、戸籍謄本がいるの?

 取り寄せなきゃな・・・


 結婚式を挙げた時、もしくは同居を始めた時。

 こんなことも書かないといけないのかぁ。




 想定していない内容が、2か所あった。


 1か所目は、新しい本籍地。


「これは・・どこにすればいいんだ?」

「ええと・・・どうしましょう・・」


 住むところは賃貸である。いつまでも住み続けるわけではない。

 じゃあ、こういう場合は本籍地ってどこにすればいいんだ?





 そして、もっと悩ましい記入箇所。

 それは・・・





 証人欄。2名。


 氏名・捺印・住所・本籍地までを書かないといけないらしい。

 しかも、自署。証人に書いてもらわないといけない。


 証人って、保証人だろうか?

 証人の印鑑証明もいるのだろうか・・?



「こんなことまで必要なんだ・・・」

「ええと、誰に書いてもらいましょうか・・・」




 婚姻届けを出すというのは思っていたより面倒くさい手続きだったようだ。

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