第6話 親友からの尋問

「それで、どうなんだよ。結婚式やらないつもり?」


 今日、美月はミキと2人で食事に来ていた。

 最近、お互いに忙しくてゆっくりとおしゃべりできていなかった。久しぶりに友人同士での食事・・といっても行きつけである”いい天気”で飲んでるのである。

 

 結婚について、引っ越しについて、お互いの彼氏との仲などおしゃべりのネタは山ほどある。


「うーん、ミキちゃんの言う通りタキシードは見たいかも・・」

「美月・・おまえはコスプレが見たいだけなんじゃないか?」

「えへへ・・」


 このチャンスを逃すと、タキシード姿など二度と見る機会はないだろう。


「コスプレだったら、美月もやってみるか?」


 ミキは、レンタル衣装のHPを美月に見せた。それは、健司も発見した例のアニメのキャラクターの衣装のレンタルページである。

 そこには、アニメのキャラクターをのままの髪型・ドレスを着たモデルがポーズをとっていた。


 美月は目を丸くして、顔を赤らめた。


「こ・・・これは・・私には無理かな・・」

「美月が着ないなら、あいつはコスプレ着ないんじゃないのか?」

「じゃ・・・じゃあ、普通のタキシードで」

「へえ・・じゃあ、結婚式やる気になった?」

「まぁ・・家族とミキちゃんくらいなら・・・」


 こうして、美月が結婚式をやることになったのであった。




 ここで、店員のミキちゃんが料理を持ってきた。

「あら?結婚式って、どなたがやるんですか~?」


 話が聞こえていたらしい。


「え・・・と・・」

 顔を赤らめながら、美月が右手を小さく上げた。


「え?もしかして早乙女さんと結婚するんですか~~??」

「は・・・はい・・」


「え?マジで早乙女さん結婚するんですか?」

 シェフのダイさんが驚いて大きな声で聴いた。


 ザワザワ!!!

 常連たちがざわめき立った。



 彼らは、健司と美月がここの店で出会ったことを知っている。

 そして、カップルとなったことも。(しかも、年の離れた!)

 ついには結婚とは。


 ”もしかしたら、俺も若い彼女が見つかるかも!!”

 ついつい夢を見てしまう男たちであった。


「はいはい、静粛に!」

 ミキが声を上げる。

 みんなが注目する中、ミキが言った。


「で、美月?プロポーズはどこでどんな感じだったのかな?」

「え?え?」

 おどおどする、美月

 みんなが注目する中、ミキによる美月への尋問が始まった。



 こうして、健司のプロポーズの詳細は”いい天気”の店員と常連たち全員に知れ渡ったのであった。

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