第6話 よかったよかった

(はぁ、何とか送り届けることが出来て助かった。)


地球に似た、青い惑星を見ながら女神はほっと安堵の溜息をついた。


異世界への転生というものは簡単なことではない、

魂の同意も無しに事を起こせば、女神自身の存在を削って送り届ける事になる。


しかも一人の魂を送る予定で長い時間をかけて神力しんりょくを溜めていたのに、急に3人分必要になったのだ。もしも強行していたら自身の存在すら消滅して居たかもしれない。


「アレは驚かない方が無理という物よ。」


あの男を選んだのは、特に理由はなかった。

強くやり直したいと願う魂ほど、異世界転生には向いている、

道さえ示せば特に説得などしなくても、自然と簡単に同意が得られるのだ。


今回は最終的に同意は得られたが、能力を与えるために多少は存在の力を削る事にはなった。


消滅するよりはマシではあるし、神として約束を違える訳にはいかない。

言葉と行動が共なわなければ、それこそ神としての存在が揺らいでしまう。


「しかし…」


最初は中年男に集中していた。

だがトラックを見た時、うっかり意識をトラックへと移してしまいそのまま転送してしまったのだ。


「無機物に魂が宿るとはのぅ。」


トラックには魂があった。

地球には付喪神という存在があったが、その類であったのだろうか?


(まぁ今となってはどうでも良い、次の世界へと旅立った3つの魂が健やかに過ごせるように能力を与えねば。)


女神はコキコキと首を鳴らすと、どんな能力チートを与えてやろうかと張り切って思いを馳せるのであった。

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トラックママ、異世界爆走 うおぞう @damia

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