第2話 冬にベリーショート

「似合っていますよ」

「ありがとうございます」


 いらなくなった髪をバッサリ切ってもらった。理由は、


「イメチェンですか?」

「はい」


 これは数分前の質問と答え。


「春ですものね」


 わたしの淡々とした返事に、明るい笑顔を添えてコメント。




「ありがとうございましたー」


 会計を済ませて店を出た。外は暖かい。けれど、わたしは違う。そんなことを思いながら店の方を、くるり。担当のスタッフさんが、髪の長い美容師と笑っていた。


 こちらこそ、今までどうもありがとうございました。


 心の中で呟き、美容室を背にして歩き出した。

 まだ寒い。

 今はスッキリしていない。

 外は、すっかり春なのに。

 ロングからベリーショートにしたのに。


「違う美容室、探さなきゃ」


 見つかるころには、もう髪は伸びているだろう。その調子で春も来ていただきたいものだ。

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