第18話 VS友禅

ローラから異世界転生の謎を教わった俺は、新たな力『デッキ作成』を得た。そこに、邪神の犬となっていたかつてのライバル…

鋏目 遊禅が現れた。


「僕と勝負しろ!誘導 勝!」


「のぞむところだ!遊禅!」

「まずはデッキ作成からやらしてもらうぜ。起動!ホワイトロータス。」


〔承認しました〕

空中にモニターが展開する。


「なるほど、今まで使用したカードと倒したカードを使えるんだな。よし。」

俺は手早くデッキを作成した。


「待たせたな。バトルスタンバイ!」LP4000


「バトルスタンバイ!」LP4000


パァァァン

こうして異世界初のバトマが始まった。


「先行はこちらが貰う。僕は『シザー・デス』を召喚」 「カニニ!」(攻撃力1500)


「先行は最初のターン攻撃できない。ターンエンドだ。」


予想通りシザー・デスを出してきた。


「いくぜ、俺のターン!」


ドローした後、真っ先に手札を確認する。

・『シザー・デス』・蝶の短剣エルーマ

・カタパルトフロッグ・オルカ魚雷


「まず、蝶の短剣エルーマを俺に装備するぜ!」シャキン


まずは遊禅を驚かせる事にしよう。


「ウェポンカードを自分に装備しただと!」


「全ては使い手の想像力で決まる。バトリストなら当然のことだろ?」


「そうか…そうなのか?」


「こんな事も出来るぜ」シュッ

俺はエルーマを蟹に向けぶん投げた。


ザクッ!(攻撃力300down)


「攻撃力が下がった?!」


「カードを投擲し、ダメージを与える事で攻撃力を下げたのさ。まだまだいくぜ。

あんたならこれから何が起こるか….分かるよな?」


ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!

「ズ…ワイ」ガクッ…(攻撃力0)


「一瞬で攻撃力を0に…破壊された時に手札に戻る効果を利用したのか。」


「分かってるじゃないか。そう、これこそが俺が編み出した奥義『エンドレスエルーマ』だ!」


「そして、俺自身で『シザー・デス』を攻撃!」ザシュ!


「ぐっ…」LP4000→3700


「さらに、シザー・デスを召喚し、攻撃!」


「ぐぁぁ!」LP3700→2200


「これでターンエンドだ。さあ遊禅、この奥義を突破出来るかな?」

と得意げに言い放ったものの、この奥義には色々と穴がある。きっと彼であればその穴を突いてくるだろうな。


「ああ、突破してやるとも!僕のターン、ドロー」


「僕は永続魔法『旧友による救出』を発動。1ターンに1度クリーチャーが召喚された時、墓地にある同名クリーチャー1枚を手札に加える事ができる。」


「なんだと、『シザー・デス』を複数枚入れているのか?」


「その通り。女神トレカ様に頼み込み、シザー・デスを4枚入れるようにしたんだ。僕は2体目を召喚!」


「カニー!」(ATK1500)


トレカに頼んだ?…そうか。事の全貌が掴めてきたぞ。


「そして、この効果で墓地の『シザー・デス』を手札に加え、手札から召喚する。」


「カニニ!」(ATK1500)


「これで2体か。だけど俺の防御にはまだ届かないぜ」


「甘い。僕は魔法カード『一族の力』を発動。これで同名クリーチャー攻撃力を1000上がる。」


ゴオオオ!(攻撃力2500)(攻撃力2500)


「やるな。」


「行け!『デス・シザー!』」

ザシュ!


「あああああ!」LP(4000→500)


同名カードに特化したサポートカードで

『シザー・デス』を展開し、強化する。

それが彼の戦闘スタイルだ。

あれから十数年経っただけあってとても洗練されている。

いいぞ!それでこそ熱くなれる!


「さらに、魔法カード『休戦命令』発動!

次の僕のターン開始時までお互いにウェポンカードを発動できない。」


「なんだと!」


「お前のコンボは封じた。投擲できるのはその手に持ってるモノのみだな。」


カードを組み合わてどんな逆境をもひっくり返す。これこそがカードゲームの醍醐味だ。


「…面白え!それでこそ遊禅だな!」


「僕は僕のやり方でお前を倒す!これでターンエンドだ!」


「俺のターンだな。ドロー!」シュッ


ドローしたのは『業火砲艦-セキチク』

…分かってた。ピンチの時に一発逆転できるカードが来ないのいうことを。一体これでどう戦えばいいんだ!


「どうした?サレンダーする気か?」

こちらの事を察したのか友禅は余裕そうだ。

この手札では打つ手が無い。

考えろ…考えるんだ!


「俺はカタパルトフロッグを召喚!」

「ゲコォ」ATK1200


「中々厄介なクリーチャーを…急に暗く…なった?」


「上を見てみな。」 


「ば、馬鹿な!」

驚くのも無理ない。フロッグの上には…

既に『セキチク』が載っているのだから。


「お前はまだまだ想像力が足りないぜ!。カタパルトは物を載せるモノ。最初から載っててもいいんだぜ!」


「なんて無茶苦茶な理論なんだ…」


「まずはセキチクの効果。手札の数×400ポイントのダメージを与えるぜ。『百火繚乱!』」

ズドドドド!

「ぐっ…効果も使えるとは…」LP2200→1400


「カタパルトフロッグの効果発動!セキチク(ATK2300)を射出!」 「ゲコォ」ドーン!


「ぐっ…」LP1400→250


「そして、オルカ魚雷(ATK200)を召喚し、射出!」


「うっ」LP250→150

「…だけど、お前にはもう射出出来るカードは無い。次のターンの攻撃で僕の勝ちが決まる。」


「何勘違いしてるんだ?」シュィィィン


「そんな…馬鹿な!お前自身が弾になるなんて…」


「俺!射出」ドーン!

手に持っていたエルーマが友禅に突き刺さる。


「うわぁぁぁぁぁ!」LP0

友禅は派手にぶっ飛んだ。


「…面白いバトルだったぜ!」

俺は友禅とのバトルを通じ、久々にバトマの楽しさを思い出した。


「立てるか?遊禅。」

俺は遊禅に手を差し伸べる。


「ぐっ…お前、意味不明の効果で僕を蹂躙しておいて、全く変わらないな。」


「ああ。全く変わらないぜ。バトマを愛する気持ちはな!」


「…そういうとこだぞ遊導。まあ、変わらないのは良い事だ。あの頃のお前に復讐出来る機会があるということだからな。」

「俺は、『シザー・デス』と共に修行の旅に出る。いつかお前を倒すために…だ。」


「カニー!」トコトコトコトコ


そう言い捨てると友禅はシザー・デスに乗ってどこかへ行ってしまった。


「ああ、行ってしまわれたのですね…」

トレカは呼び止めようと手を伸ばしていた。


「追いかけるか?」


「いえ…元々1人で行動するとの事でしたので大丈夫です。もしもの事があっても、遠隔で私が助けられるようになっているのでご心配なく…」


「トレカ。遊禅も助けてくれてありがとな。」


「も…もちろんなのです女神ですので!」

「そ、その、本当は元の世界に帰す予定だったのですが、上手くいかなくて…危険を承知で協力してもらうことになったのです。」


「そうだったのか。あいつ修行するって言ってたけど、何かと勘違いしている気がするな…」


「遊禅さんはこう言ってました。

〜人生何もかもが修行〜

と。クリーチャー退治もその一環にしていると思うのです。」


「あいつらしいな。ふふ…」


「どうしたのですか?」


「成長したあいつと戦うのが楽しみになってきてよ。笑ってしまったぜ。」


弱小カード『シザー・デス』と共に高みを目指すバトリスト

〜鋏目 遊禅(はさめ ゆうぜん)

強くなったあいつが、どんなバトルを見せてくれるか楽しみだ!

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