幕間1 遊導 勝という男
私はキャンパスの廊下全速力で駆けていた。
午前の講義中にスマホに入ってきた衝撃的なニュース…これをいち早く2人に伝えなければ!と思ったからだ。
『
抑えきれない感情に任せ、部室の扉を思いっきり開けた!
ガッシャァァァンン!
「大変ジュラ!マスター勝が行方不明ラプ」
「マスター勝?誰だよそれ?」
「今忙しいんだ。後にしてくれないか?
はい、俺の勝ち。」
「あ、おい待てよ伊吹。俺には伏せカードが!」
「『
「くそっ負けた!、もう一回だ!」
部室ではイブキとマサムネが夢中でバトマをやっていた。この様子だと私の話を聞いてくれそうにない。
「二人とも聞いてジュラー!!!!」
バリィ…
思いっきり叫んでしまい、部室に飾ってある『強欲な瓶』の置物にヒビを入れてしまった。
「フタバ!すまんかった!」
「分かった。分かったから叫ぶのをやめてくれ。鼓膜がポップコーンになりそうだ。」
「ふう、やっと聞く気になったジュラね。とにかく、これは大変な事ジュラ。マスター勝がいなくなるのはバトマの終わり。終焉のカウントダウンが始まったようなものラプ。」
「そんなに有名な人なのか?」
「ビギナーのマサムネでも分かるよう説明すると、バトマ黎明期から活躍している伝説のプレイヤーだ。多彩なデッキを使いこなし、多くの人々を魅了した。」
「私もファンの1人ジュラ!」
「はいはい分かった分かった。」
イブキは私を少し後ろに押しのけた。
落ち着けって事だろう。
「実力も申し分なく、小学生で全国大会一般の部で優勝。それ以降も何度か世界大会に出場するなど好成績を残した。さらに、トークも上手で彼のコラムが載った雑誌の売り上げは2倍に、出演した動画の総再生回数は2億回と強い影響力を持っている。とにかくすごい人なんだ。」
「へー。」
「本当にすごいと思ってるジュラ?その様子だとわかってないラプね!」
「ほ、本当に凄いと思ってるよ!」
「理解したならそれでいいジュラ。そこで一つ質問するけど、何か思う事はないジュラ?」
「聞いた限りだと、行方不明になる理由が見当たらないな。1週間前に新しい動画も出していたしな。」
「そうジュラ。マスター勝には失踪する理由が見当たらないジュラ。」
「一ついいか。表向きは順調そうでも裏で悩みを抱えてたという可能性は無いのか?」
「伊吹、この記事を見るジュラ」
「これは…」
〔マスター勝さん行方不明か?3日前から行方分からず〕
マスター勝さん(本名・遊導 勝)が行方不明になり3日が経過した。⚪︎月×日の午後6時頃に秋葉原のカードショップを訪れて以降目的情報は無く、最後に目撃した店員の話によれば「彼はこの店で1番高額なカードを購入していきました。もしかしたらそれを狙われたのかもしれませんね。」という事であり、警察は事件と事故の可能性を含めて捜査を進めている。
「つまり、事件に巻き込まれたという事だな。」
「そうジュラ。だから、私達でマスター勝をさらった犯人を探すジュラ!」
「待てよフタバ。それって危険じゃないか? 警察に任せた方がいい。」
マサムネの言う通り確かに危険だ。でも…
「私はマスター勝の事が好きラプ。だから助けになりたいジュラ。」
「俺も協力する。フタバだけじゃ心配だからな。お前もそう思うだろ?」
「分かった。俺も行く!」
「決まりジュラ。それじゃ明日例の店の前で集合ラプ!」
こうして、失踪した有名バトマプレイヤー
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