第17話 新たなる機能

あくる日の朝、俺はトレカ達を食堂に集めた。精霊「ホワイトロータス」の事を話すためだ。


「…という訳だ。」


「もうお会いしてますよ。」


「会ったぞ。」 「会ったよ。」


「…なんだって?!」ガタッ

みんな揃えて言うので、危うくテーブルをひっくり返す所だった。


「彼女は皆さんの治療時に、ルルさんの体から飛び出してきたのです。彼女は知ってる事を話してくれましたよ。勝さんのコレクションの行方もあのガントレットの秘密もです。」


なんと、俺が一番聞きたかったガントレットの事も聞いているらしい。


「どんな秘密だ?」


「あれなのですが、マサルさんのコレクションを使用して作られたものだそうです。

そのデータを元にカードを実体化させる機能を付けていて、今まではそのデータから状況に合わせたカードを選んでいたのです。」

「しかし大部分は封印されていて…マサルさんの思いに答えたものか、マサルさんが倒したカードしか使えない状態です。」


「なるほど。」

ガントレットの中にコレクションがあることから大体予想はついていた。実際にわかるとそれは衝撃なのだが。

それにしても、使える様にするにはクリーチャーとの戦闘が必須とは…まだまだ戦う必要がありそうだ。


「そしてですね、ローラさんと相談してガントレットを強化したのです。」


「もしかして…もしかするとだけど、『デッキ』を組めるようになったのか?」


「よくわかりましたね!流石勝さんです。これで戦略の幅が広がるのです。」


「勝さん…ガントレットに触れてみて下さい。」


「こうか?」

もう片方の手でガントレットを握った。


ミュオン!

ガントレットの真上に透明なモニターが現れた。


〔マサルさん。またお会いしましたね。〕

画面には精霊らしい格好をした女性が映っていた。ただ、声で分かった。彼女はホワイトロータス…通称ローラだ。


「ローラ!また会えて嬉しいぜ」


〔ふふ…私もです。私達の願いを聞き入れてくれた以上、沢山サポートさせて頂きたいと思います。〕


「よろしくな。所でどこから通信してるんだ?」

〔マサルさんの腕と一体化しているそのガントレットからです。〕


「ガントレットからだと?!よく分からないけどすごいぜ。」


〔このガントレットを私は『ホワイトロータス』と名付けました。それ故私の力の一部を行使出来るのですよ。〕

「おー。それで色々と機能がある訳なんだな。」

全ての願いを叶える精霊で有ればこのような事も可能なのだろう。


それではガントレットの機能を説明させて下さいね。〕


「いいぜ。それじゃ始めてくれ。」


〔手始めに、『デッキ』を作成できるようにしておきました。こちらは…〕

こうしてローラによる説明が始まった。、


〜〜30分後〜〜


まとめるとこうだ。


・デッキ(山札)の枚数は10枚。同じカードは1枚まで

・戦闘開始時にデッキから3枚ドローする。

・コストは全て0として扱う。

・発動条件は無視しない。


この中で3つ目が特に重要だ。

バトマにはカードを使用するのに決められたコストを消費する必要がある。その必要が無くなるのだ。

キルザークを例に解説すると、

そのコストは6なので、6ターン目以降でないと召喚出来ない。

だが、『ホワイトロータス』のデッキであれば、初めからキルザークを召喚する事が出来るのだ。今まで召喚できていたのもそれに乗っとていたからだろう。


「説明ありがとな。かなり派手な戦闘ができそうだぜ!」


〔あらゆるカードの知識を持つあなたであればきっと使いこなせるでしょう。〕


「ああ、早速使ってみたいぜ!」

全身が震えてきた。キルザークがいないのは残念だが、カードゲームらしいスタイルで戦えるのがとても嬉しい。


バンッ


宿屋の扉が思いっきり開く。


「なら、僕と勝負しろ!誘導 勝!」

俺の前に友禅染の男が立ちはだかる。


「のぞむところだ!遊禅!」

色々と突っ込みたいところはあるが、

この時、俺の闘争心は最高潮に燃えていた。

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