第37話 故郷

 4人は、抵抗することもできずに縛り上げられ連行された。


 それから、馬車で3日・・・


 連れてこられたのは、石造りの建物の中。

 窓はあるが、ごっつい鉄格子がはまっている。


 ”普通なら”脱出は不可能であろう。


 吉岡と田中は、兵士たちに連れていかれてしまった。

 どうやら、例の爆発に使った爆薬の製造方法について尋問されるようだ。


「う~ん、こんなことしている場合じゃないんだけど!」


 藤島は焦っていた。

 このままだと・・・間に合わない。

 一刻も早く帰らなければ!


「そおっすね。あの二人がいなきゃ簡単だったんすけどね」

「見捨てて行きましょう!」

「殺人犯か誘拐犯にされるのは嫌っスよ」


 木のベッドに座り、小さな声で話す二人。


「大体、ここはどこなのよ」

「あぁ。それなら、多分カルマン帝国の王都っス」

「え?そうなの?どうしてわかるの?」

「窓の外の建物見ればわかるっス」


 エリザベスはうつむきながら答える。

 小さな声と言うだけではなく・・・なにか沈んだ表情。


「私、ここの出身っスから・・」

「え?じゃあ両親とかここにいるとか?」


「・・・いえ」


 目を伏せ、沈んだ声で言う。


「わたしは・・・この街で孤児だったので、両親の顔も知らないっス」


 驚く藤島に、エリザベスは話始めた。


「戦災孤児・・・物心がついた時には、立派なストリートチルドレンってやつでした」

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異世界に召喚されたら、故郷でした。日本に帰るために頑張ります。 三枝 優 @7487sakuya

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