第26話 議論

 エジルさんの家についた。


「・・・・え・・・何これ」

 田中の遠慮ない言葉。

 だけど、その気持ちもわかる。


 その家は、石を積み上げて作ったドーム状のもの。

 いわば石で作ったのようなものだった。


「まぁ、遠慮せず入ってくれ」

 エジルさんに言われて入る。

 中は思ったよりかは広いが・・・想像通り、床はなく土の上に敷物を敷いているようだ。


 この世界では、こんな家が一般的なのだろうか?


 すると、エリザベスさんが言った。


「このクニでは、木がキチョウなんですネ?」

「あぁそうだ。あんたらは違う国から来たのか?」

「ハイ。そうなんでス」


 そうか・・だから石でできているのか・・


 エジルさんは夕食を作り始めた。

 と言っても家の外のかまどで作っているようだ。


 エリザベスさんはジルさんと遊んでいる。どうやらあやとりを教えているらしい。

 キャッキャと喜ぶジルさん。

 あやとりを初めて見るらしい。


 一方で・・こちらでは、藤島さんと田中が地図を見ながら議論していた。


「だから、この国の王都に行こうぜ。この国で成り上がってみせるんだ」

「バカ言わないでよ。私はできるだけ早く帰りたいの。そのためにはここに行くしかないって聞いたのよ」

「せっかくの異世界なんだ。冒険しないでどうするんだよ」

「ふざけないでよ。遊びじゃないのよ」


 いつまでも、議論が終わりそうもない。


「そうだ。吉岡はどうしたいんだよ?」

「そうよ!吉岡君も早く帰りたいでしょう?」


 えぇ・・・僕に聞かれても・・・

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