第24話 どちらを切り落とそうか?

 吉岡は困惑していた。


 目の前には、鉈と刀を足して2で割ったような重たそうな刃物を突き付けてくる髭面の男。その向こうには、泣きじゃくる女の子。


 自分は無実だと言いたい。


 だけれども。


「〇×△×〇〇△×!!△×△×!!△×〇×〇×!!」


 言葉が全く分からない。

 この異世界に来ても今までは日本語が通じていたのに・・


「何言ってんだ?日本語でしゃべろよ」


 田中はのんきに日本語でしゃべり返している。


 その間も、寒くて寒くて死にそうだ。


「すみません、寒くてたまらないんです。助けてください」


 何とかジェスチャーで意思疎通を試みようとして見るが、まったく理解しようとしてもらえない。


「△×〇×〇×!!△×〇×〇×!!」


 刃物を突き付けてくる。

 殺そうとしているのだろうか・・



----


「お前ら!うちの娘に何したんだ!!答えろ!!」


 藤島とエリザベスが、その場に来た時に見た光景。


 泣きじゃくる10歳くらいの少女と、その子をかばって山刀を構える男性。

 その先には・・・


 素っ裸の男たち。

 田中と吉岡である。



 事案である。

 どう見ても犯罪としか思えない。



 女の子に対して素っ裸で何をしようとしていたのか。


「このまま、死んでもらおうかしら」

「いえ・・・責任をトッテ、ツレて帰るしかナイです・・・」

「あなた・・その口調で通すつもり?」

「イマさら、変えられマセンから」


 しれっというエリザベス。


----


「強姦魔!うちの娘に何したんだ!!いいかげん答えろ!!」


 急に、男性の言葉が日本語になった。

 あれ?


 すると、藤島さんとエリザベスさんが歩いてくるのが見えた。



 視線が冷たい。


 藤島さんは、ごみ屑でも見るような目で見てくる。

 エリザベスさんは、獣でも見るような目で見ている。



「あなたたち・・まさか、異世界なら犯罪にならないとでも思ったのかしら」

「フケツです・・・」


「いや、そんなことはないぞ。少なくともロリコンではない」

 胸を張って言う、田中。


 エリザベスさんが、女の子のそばに行って慰めている。

「ゴメンナサイ。お姉さんタチがあの人たちをタイジするからね・・」


 藤島さんが、冷たい声で言ってきた。


「それで、この場で首を切られる?。それとも、切り落とされる?

 どちらを選ぶのかな?」


 何を切り落とされるのでしょう?

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